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 岐阜市の養豚場で9日、国内で26年ぶりに豚(とん)コレラの発生が確認された。岐阜県は感染拡大を防ぐため、10日未明までに同じ養豚場の豚546頭の殺処分を終えた。引き続き敷地内で埋却や汚染物の処理を進めている。農林水産省は国内の豚肉や豚肉加工品の輸出を停止した。

 岐阜県によると、発生が確認された養豚場では3日に肥育豚1頭が急死。豚コレラウイルスの感染が疑われたため、県や国が別の豚を再検査した結果、9日午前6時ごろ、感染が判明した。県は9日午前8時半に殺処分を開始し、10日午前5時過ぎに完了した。県は9日、県内のすべての豚とイノシシの飼育農家51戸に聞き取り調査を実施。いずれも異常がないことを確認した。

 これまでに感染ルートは特定されておらず、県や国は養豚場への出入りや関係者の海外渡航歴などを調べ、感染原因の特定を進めている。この養豚場からは、5日に9頭の豚が出荷されたが、食肉にする際の検査で安全性が確認されているという。

 養豚場では殺処分された546頭のほかに、殺処分完了までに約140頭が豚コレラで死んだ可能性がある。県は8日になってから大量死を把握した。それまで報告しなかったことについて、養豚場の経営者は「パニックになった」などと話しているという。死んだ豚は養豚場内などに放置され、一部は肥料にするため、養豚場から出たふんなどと一緒に外部の堆肥(たいひ)場に運び込まれていた。県は堆肥場に対し、堆肥の搬出を自粛するよう求め、10日、封じ込め作業を始めた。また、死んだ豚を放置し、肥料にしようとしたことについて問題がなかったか調べている。

 殺処分された豚は、養豚場の敷地内に埋却される。県は9日午後8時ごろから埋却を始め、10日午前11時ごろにすべての豚を穴に投入し終えた。県は11日中には土をかけて埋め、養豚場の消毒作業をして防疫措置を終えることにしている。

 県は養豚場から半径10キロ以内を区域外への豚の搬出を禁止する「搬出制限区域」に指定し、畜産関係の施設に出入りする車の消毒作業などを区域内の6カ所で実施している。

 豚コレラは豚やイノシシに感染する伝染病。人には感染せず、感染した豚の肉を食べても健康への影響はないという。国内で豚コレラの感染が明らかになるのは、熊本県で最後に確認された1992年以来26年ぶり。熊本県によると、その際には5頭が発症を疑われ、うち4頭が豚コレラと確認され、32頭が殺処分されたという。

 国内では、2008年などに無許可のワクチンを使った豚から豚コレラウイルスの抗体が陽性反応を示した事例などが報告されている。(板倉吉延、室田賢)