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 何もわからないし、何もできない。そんな認知症の見方をやめ、本人の意思を尊ぶ介護が重視されている。国の施策「新オレンジプラン」(2015年策定)は、これまでの施策が「支える側」の視点に偏っていたと省み、認知症の人の思いをくみ取る大切さをうたう。21日の世界アルツハイマーデーを前に、その理念をもとに、当事者の生きがいづくりに力を入れる施設を訪ねた。

認知症でも「まだ仕事できる」

 認知症対応型のデイサービス「あがら花まる」は、JR御坊(ごぼう)駅(和歌山県御坊市)から車で数分の住宅地にある。認知症デイは、住み慣れた地域で暮らし続ける人を支える「地域密着型」と呼ばれる介護保険サービス事業の一つだ。

 山際裕三さん(79)は妻と2人暮らし。家族が認知症の進行を心配し、昨年3月から週2回通う。趣味はハーモニカだ。音色が好きで定年後に始めた。「持ち運びが便利で、いつも持っている。聴いてもらえるのがうれしい」。童謡を10曲ほど披露し、利用者と職員が合唱した。

 「きょうもお昼ごはんの調理を手伝ってね」。食堂の椅子に座っていた女性(80)に職員が話しかけた。女性は一人暮らしで、近所に長男や次男がいる。7月からあがら花まるを利用し始め、いまは週3回通ってくる。

 この日のメニューはちらしずし。女性は職員に見守られながら、キヌサヤを千切りにしたり、金糸卵をつくったりした。「少しでも手伝えることがあれば。ここだとみんなと話ができる」と、包丁を片手に楽しそうに話した。

 あがら花まるの定員は12人。朝一番、それぞれの「本日の役割」を話し合いで決め、ホワイトボードに書き込む。畑仕事、掃除、配膳、洗濯、日曜大工。アイロンの達人もいて、任せられた「仕事」に精を出す。市役所の植木や花壇の世話をしたり、手づくりのぞうきんを小学校に寄贈したりもしてきた。

 施設管理者の古久保元基さん(38)によると、開所して3年ほどは、体操や塗り絵、折り紙など職員が決めたプログラムをみんなで一緒にしていた。すると、「子どもみたいなことをする施設には行きたくない」「まだまだ仕事ができる」「人の役に立ちたい」といった声が上がった。それぞれの興味や力をいかそうと決めたという。

 利用者に役割を振ると時間はか…

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