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 歌舞伎にルーツをもつ劇団「前進座」が、寅さんシリーズで知られる山田洋次と、舞台演劇でタッグを組んだ。山田が監修と脚本を手がけた喜劇「裏長屋騒動記」を来月、関西で初めて上演する。

 物語は二つの落語がもとになっている。一つは、売り渡された仏像から小判が出てくる「井戸の茶碗(ちゃわん)」。もう一つは、らくだの馬と呼ばれる乱暴者がフグにあたって急死する「らくだ」だ。江戸の長屋で起こる騒動を、笑いやロマンスとともにつづる。

 きっかけは、1952年公開の前進座の映画「箱根風雲録」に山田がエキストラで出演したこと。以来、山田の映画に団員が出演するなど、互いに親交を深めてきた。

 山田は今回、毎日のように稽古場に顔を出し、役作りやセリフ回しをアドバイスしたという。貧乏浪人の娘お文を演じる劇団員の今井鞠子は「とにかく生活の中から出てきたセリフを大事にしているのが印象的だった」と振り返る。

 正直者の若侍を演じる忠村臣弥(しんや)は「こちらが笑わせようとするからではなく、お客さんが共感してくれて初めて笑いが生まれる。山田監督が『演じる人間が苦しみを知らなければ、喜劇をやる資格はない』と話してくれた意味が、少しずつわかってきた」と話す。

 10月4~10日、大阪・日本橋の国立文楽劇場。8800円など。劇団(06・6212・9600)へ。(岡田慶子)