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 国土交通省下館河川事務所(茨城県筑西市)は、3年前の常総水害で起きた鬼怒川の堤防決壊を、CGを使った仮想現実(VR)で「疑似体験」できるソフトを開発した。職員研修に使うほか、一般の人たちへの出前講座などで体験してもらい、水害の危険を伝えていく考えだ。

 VRゴーグルを頭にかぶると、画像の中に取り込まれたように感じる。顔を動かすだけで四方や空を見回すことができ、まるで鬼怒川の堤防に立っているような感覚を味わえる。最初は補強が終わった現在の堤防をドローン(小型無人飛行機)で撮影した映像が表れ、上空から鬼怒川を見下ろしながら空中散歩ができる。

 続いてCGに切り替わり、2015年9月10日午前11時ごろ、現在より約2メートル低い昔の堤防ぎりぎりまで鬼怒川の濁流が迫り、やがて越水が起きて濁流が住宅側へ流れ落ち始める。たちまち越水範囲が広がり、2時間足らずで長さ200メートルにわたって堤防が崩れ、巨大な川のように濁流が氾濫(はんらん)する様子が体感できる。被災家屋などは表現されない。

 映像は約3分半で、当時の記録などをもとに今春完成したという。下館河川事務所の星尾日明(あきら)調査課長は「現在の堤防を見ても、洪水時の切迫した状況はなかなかわからないことから試作した。早期避難につながるように使っていきたい」と話している。(三嶋伸一)