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 40年以上にわたって視覚障害者のために新聞や雑誌を朗読し、CDなどへの収録を続ける団体が京都市にある。中京区を拠点に活動するNPO法人「ロバの会」。情報環境が変化するなか地道な取り組みを長年続け、全国の視覚障害者を声で支えてきた。

 「別々に作ったCDを1枚にまとめては」。12日、中京区の事務所で開かれた例会。代表の端野順子さん(70)=大阪府枚方市=が会員約20人に呼びかけた。医療分野に特に力を入れる同会は、あん摩マッサージ指圧師、はり師などの最新の国家試験問題集と解説集を収録したCDを先月末に仕上げたばかりだ。

 このほか、新聞や雑誌記事を朗読したCDを年に数回無料で発送したり、小説を吹き込んだCDを貸し出したり。百貨店の通信販売のカタログでは商品の特徴や値段、サイズなどの詳細を音声で説明する。全国に1100人ほどいる利用者は、どの録音を受け取るか選べる。

 同会は43年前、京都市内の点字図書館で活動していたボランティアで結成された。これまでに700タイトル以上のCDを作成。会員は自宅で朗読して収録し、その後別の会員による校正や、パソコンでの編集を経てCDが出来上がる。発送する封筒を手作りしたり、「ロバ」と刻印された点字を貼ったりもする。

 会の名称には「誠実に一歩一歩あゆんでいく」という意味を込めたという。現在の会員は60~80代の40人ほど。「もう読めない」と朗読を引退する会員も出てきた。端野さんは「若い担い手も加わってくれるとうれしい」と話す。

 一昨年に1人、昨年は2人の新しい仲間を迎えた。昨年会員になった池田恵さん(60)=京都市左京区=は難聴の知人に「声が聞きやすい」と言われ、声を役立てたいと考えていたところ同会に出合った。「抑揚をつけずに読むのは難しくまだまだの部分もあるけれど、きっちり読めるよう頑張りたい」と意気込んでいる。

 今年2月からは月1回、新しい会員らに朗読技術を継承するための勉強会を始めた。端野さんは「利用者が情報を得る手段もさまざまになってきたが、今も1千人以上がCDを待っている。これからも続けていきたい」と話す。

 同会は水曜日に事務所に集まり、発送などの作業をする。問い合わせは端野さん(電話072・852・2801、メールhasino@ca3.so-net.ne.jp)へ。(本多由佳)

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