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 性被害を告発する#MeTooは、社会にどのような影響を与えたのでしょう。自らのレイプ被害を訴え、日本における#MeTooのきっかけをつくったジャーナリスト伊藤詩織さんに聞きました。

伊藤詩織(いとう・しおり)
1989年生まれ。主に海外メディア向けに映像ニュースやドキュメンタリーを発信している。著書に「Black Box」(文芸春秋)。4月に国際映像コンテスト「ニューヨークフェスティバル」で、孤独死をテーマにしたドキュメンタリー「Lonely Deaths」で銀賞を受賞した。

 ――日本で暮らすことが難しくなり、いまはイギリスに。渡英のきっかけは。

 昨年5月に記者会見を開き、元TBS記者から受けたレイプ被害を告発しました。真実を伝える仕事をしたいと思っていたにもかかわらず、自分が遭った出来事をなかったことにしたら、また自分や他の人に起こるかもしれない。そんな状態では生きていけないと思ったんです。性暴力について話せる環境を少しでも社会の中につくりたかった。

 しかし会見後は様々な波風が立ちました。オンラインで批判や脅迫にさらされ、身の危険を感じました。外に出るのも怖かったです。以前から「相手を告発すれば日本で仕事ができなくなる」と言われていたので覚悟はしていましたが、想像以上で、日本で暮らすのが難しくなってしまいました。そんなとき、ロンドンの女性人権団体から「安全なところに身を置いたら」と連絡をいただいた。去年の7月からロンドンで暮らしています。

 ――ご自身の経験や被害者をとりまく法律や支援体制の問題を書いた「Black Box」(文芸春秋)を、昨年10月に出版しました。

 当時を思い返すのもつらかったので、書くのであれば、数年たってからと思っていました。でも、編集者の方が「いまが、伊藤さんの声で語るときなのでは」と言ってくださって、執筆を決意しました。

 ドキュメンタリーをつくる仕事もしているので、映像で伝えることも考えました。家族や近い人に起こったらどうなるだろう、当事者の気持ちになれるような、語りかけるような作品をつくりたかった。でも、(性犯罪を厳罰化する)刑法改正案が昨年6月に成立し、施行3年後の見直しもあると考えたとき、いま話さなければと。長編のドキュメンタリーをつくっていたら刑法の見直しに間に合わないと思いました。

 最初は、表紙に自分の顔が載ることに抵抗がありました。というのは、「伊藤詩織」という人間に起きたこと、異質なこととして距離を置かれてしまうのがいやだったからです。「強い女性」とか「勇気ある女性」と言われますが、本当はへなちょこです。期待されているような、そんなんじゃないです。

 性暴力は、近くで起きている話。だから、自分の一番大切な人に置き換えて考えてほしい。私が前面に出たらそれが難しくなるのでは、と思って、最初、表紙への写真は断っていたんです。でも、写真家の方に「あなたの背後にある、見えない人たちの顔が見え、声が聞こえる写真にするから」と言われて賛同し、撮影していただきました。

 私は独りではありません。周りや後ろにある声の存在をいつも感じています。当初は顔と名前を出すことに反対していた家族も、いまでは理解してくれています。#MeTooの動きがあって、いろんな人がこの問題に対して立ち上がってくれたことが後押しになったのだと思います。

 ――でも、バッシングはいまだ…

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