オバマ氏も食べたい神戸ビーフ、地元待望の欧米直送へ
高級和牛「神戸ビーフ」を、地元の兵庫県から欧米へ直送する準備が進んでいる。これまでは欧米への輸出が認められた鹿児島県の食肉処理施設まで牛を運んで処理してきたが、地元に待望の施設が完成し、認定を国に申請中だ。来春までに生産から輸出まで兵庫で担う態勢が整う見込みだ。
神戸ビーフは、兵庫県内で生まれ育った但馬牛のうち、県内で食肉処理され、霜降りの度合いなどの基準を満たす最高級の肉で、神戸肉流通推進協議会(神戸市)が認定する。2009年、オバマ米大統領(当時)が来日時に「食べたい」と所望するなど、国内外で高く評価されている。
協議会によると、その希少性から長らく国内のみの販売だったが、12年、マカオ向けを皮切りに輸出が始まった。米国や欧州連合(EU)加盟国などに広がり、今年3月末までに22の国・地域へ約197トン(2928頭)が輸出された。
しかし、輸出には大きな「弱点」があった。神戸ビーフは、兵庫県内での食肉処理が協議会の認定条件だが、欧米の衛生基準を満たす施設が県内になかった。
これまでの輸出先のうち、県内で処理したのはロシア、タイ、マカオ、台湾だけ。他のEU加盟国や米国などへの輸出時は、相手国が求める基準を満たす鹿児島県の施設で処理してきた。兵庫から鹿児島まで十数時間をかけて運ぶ間に体重が落ちる牛もいて、経費もかかってきた。
そこで、兵庫県内の食肉団体などが出資し、ハード面で欧米の基準を満たす最新の施設「和牛マスター食肉センター」が昨年4月、同県姫路市に完成した。壁や床などにステンレスを多用し、蒸気で殺菌。つるした枝肉は人と接触せず、自動で600頭分を収容できる冷蔵庫へ運ばれる。総工費は約75億円だ。
完成後、国内とタイ、マカオ…