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 風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹(しゅちょう)を特徴とする、ウイルス性の発疹症です。学校保健安全法施行規則で「学校において予防すべき感染症」(学校感染症)の第2種に規定され、発疹が消失するまで「出席停止」とされています。

 風疹ウイルスはせき、くしゃみなどによって放出されたウイルスを、鼻や口から吸い込むことでうつります。風疹にかかっている人がせきをし、そこから半径1~2メートル以内にいるとウイルスに接触する可能性が高いと考えられます。

 ウイルスに感染しても症状が現れない不顕性感染が15~30%程度存在します。その一方で、重篤な合併症を伴うこともあります。症状の重さは個人個人で違いますので、症状のみで風疹と診断することは困難です。

 症状が現れるのは、ウイルスに感染してから14~21日の潜伏期間を経た後です。発熱、発疹、リンパ節腫脹などが主な症状です。

 発熱は風疹患者の約半数にみられる程度です。

 発疹は淡紅色で小さく、皮膚の表面よりやや隆起します。発疹が全身に広がるには数日を要することがあります。通常、皮膚の色が黒っぽくなる色素沈着や、皮膚がポロポロとはがれ落ちる落屑(らくせつ)はみられません。

 リンパ節は発疹が現れる数日前より腫れはじめ、3~6週間くらい続きます。特に耳の後部、後頭部、首のリンパ節が腫れます。

 先ほども述べたように、症状のみで風疹と診断することは困難です。溶血性連鎖球菌による発疹や突発性発疹など、発熱と発疹を起こすその他の病気や、薬の副作用によって生ずる発疹(薬疹)との区別が必要となるため、確定診断のためには血液検査が必要となります。

 感染者がせきやくしゃみをして、その中に含まれるウイルスを体外に出す排泄(はいせつ)期間は発疹が出現する前後約1週間とされていますが、熱が下がると排泄されるウイルス量は激減し、急速に感染力が消失します。

 基本的には良好な経過をたどる病気ですが、持続する高熱や、血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症で入院が必要になることがあります。血小板減少性紫斑病は、血液中の血小板という出血を止める役割をする成分が減少して出血しやすくなる病気です。点状や斑状の出血斑が皮膚に出るほか、鼻血も出やすくなります。出血症状や血小板数が著明に減少した場合には、ステロイド剤やガンマグロブリンで治療します。

 風疹には特別な治療法はなく、症状を和らげる治療、すなわち、発熱があれば冷やしたり、せきや鼻汁があればそれをやわらげたりするといった、症状に応じた治療のみです。

 日本では2006年度からMR(麻疹・風疹)混合ワクチンが定期予防接種に導入されました。1歳時と小学校入学前1年間(6歳になる年度)の2回接種です。定期予防接種の導入後、国内での風疹の発生は、すべての年代を通して少なくなっています。最近の報告患者数は、15年が163人、16年が126人、17年が93人で、9割が成人(男性は20~40代、女性は20代)となっています。

 妊婦が風疹ウイルスに感染すると、生まれてきた赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症する可能性があります。これは風疹ウイルスが胎児に感染して、先天性心疾患や難聴、白内障などを引き起こすものです。したがって、女性は妊娠前に風疹に対する免疫を獲得しておくことが必要です。

 今年の患者数は関東を中心に7月から急増し、273人(8月29日の時点)で、すでに昨年の患者数の約3倍になっています。患者数が増えている地域に住む人や勤める人で、風疹にかかったことがあるかどうか、予防接種を受けたかどうかをよく覚えていない人は、病院やクリニックなどの医療機関を受診し、予防接種について相談してみてください。予防接種を受ける場合の医療費は自己負担になります。料金はそれぞれの医療機関で異なりますので、接種を行っている医療機関に問い合わせてください。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/

(弘前大学大学院医学研究科小児科学講座助教 大谷勝記)