[PR]

 来店客がスマートフォン(スマホ)やタブレット端末で注文し、決済までできる飲食店が増えている。人手不足や人件費の高騰が続く中、現金管理の手間を減らして業務を効率化するとともに、混雑時の待ち時間などを解消し、来店客を増やす狙いがある。

 ファミリーレストランの「デニーズ」は18日、東京都新宿区の1店舗でスマホで注文から決済までできるシステムを実験的に導入した。客は席でQRコードを読み取り、メニューを表示して注文。そのまま登録したクレジットカードなどで決済できる。混雑時に従業員の手が回らず、注文や会計で客を長く待たせることを減らす。こうした店舗を2019年2月までに100店へ拡大する予定だ。

 6月に開店した「らーめん食堂 あの小宮」(東京都品川区)は、券売機も設置するが、あらかじめアプリでクレジットカードを登録しておけば注文から決済までスマホでできる。券売機に並んだり、レジで待たされたりすることはない。

 別の店舗でランチ時の行列や混雑を見て帰ってしまう客もいたため、混雑解消の一つとして導入した。吉永貴之店長は「会社員は休憩時間が決まっている。1分1秒早くラーメンが提供できる」と話す。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが過去1年間に何らかのオンライン取引を利用したことがあるスマホ利用者を対象とした調査結果によると、「この1年間に現金払いしかできず、困った店舗・場面」では「病院・診療所」(28%)に続き「飲食店」(17・7%)が挙がった。

 「×現金 ◎クレジットカード ◎電子マネー」。外食大手の「ロイヤルホールディングス」が昨年11月にオープンした「ギャザリングテーブルパントリー」(東京都中央区)は入り口にこんな看板を掲げている。客は席のタブレット端末をタッチして注文。支払いはクレジットカードや電子マネーしか受け付けない。閉店後に現金と売り上げを照合するレジ締め業務に平均40分かかっていたが、この「完全キャッシュレス」の実験店舗では、わずか数分で済むという。店舗の開発から携わった野々村彰人常務は「店長が閉店後も延々と働くことがなくなり、労働時間を短縮できた」と説明する。

 飲食業界では店舗の効率を高める取り組みが待ったなしだ。アルバイトの確保が難しいなど、人手不足の課題があるためだ。リクルートジョブズが13日に発表した3大都市圏(首都圏・東海・関西)の8月のアルバイト・パート募集時平均時給は、飲食系で千円を超えた。06年1月の調査開始以来、初めてという。

 ただ、飲食店に占める個人経営の割合は6割以上で、規模が小さい店舗ほど「省力化」への投資には二の足を踏む。人手不足に悩む小規模店舗にも決済端末が普及するかがカギを握る。(長橋亮文)