「鼻で何でもわかっちゃう人」。フランス料理界の巨匠と呼ばれ、8月6日に73歳でがんのため亡くなったジョエル・ロブションさんを、東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」の小野二郎さんは、そう表現して別れを惜しむ。10月に93歳になる小野さんは、世界最高齢のミシュラン三つ星シェフとしてギネス世界記録に認定されている。30年以上、来日のたびにカウンターを挟んで向かい合い、すしで会話していた。

 出会いは1985年、有楽町にあるレストランのフェアで来日中だったロブションさんを、料理評論家の山本益博さんが連れてきた。「すきやばし次郎」は銀座のビルの地下にある。フランスでは地下に一流店はないと眉をひそめていたのが、店に入るなり表情を変えてつぶやいた。

 「酢のにおいも、魚のにおいもしない」

 ロブションさんは、レストランの清潔さを重んじていた。料理の香りは全て皿の中に閉じ込めるべきだというのが持論だった。すしを出す前に相手の心を開いた二郎さんが、今度はロブションさんに驚かされる。

桁違いに敏感な鼻

 その日、最初ににぎったのは白身、2番目がイカ。食べ終わると「すし飯だけ食べたい」とロブションさんは山本さんに告げた。どういう意図か、通訳するのを一瞬ためらったそうだが、丸くにぎったすし飯を食べたロブションさんは「おいしい。これは自分にはできない」と脱帽した。

 「みんな上の方(魚)を見て食べているけれど、私は四分六分、ご飯のおいしさで、すしのうまさが出てくると考えてきたんです。それを、初めて来てふたつばかし食べただけで見抜くんだから。舌にぽっと入れるだけじゃなく、鼻を通さないとわからないですよ。桁違いに敏感なんだね」

■「これだ」という…

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