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(18日、大相撲秋場所10日目)

 稀勢の里にとって約1年半ぶりの勝ち越しをかけた一番は「待った」が3度続いた。審判として土俵下で勝負を見守った師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「いつもなら取り乱す」と気が気でなかった。

 1度目は稀勢の里が突っかけた。2、3度目は両者の手つきが不十分で、打ち出し後、審判部から注意を受けた。だが、稀勢の里は心を平静に保てていた。「集中して、しっかり」

 4度目。右手で遠藤の顔を張り、すかさず左を差した。がら空きの遠藤の体を右で抱えて一気に寄り切り。約2秒の速攻だった。

 支度部屋で口をつぐんだ本人の心中を、八角理事長(元横綱北勝海)が推し量った。「ホッとはするだろう。休場明けだから」

 8日目の玉鷲戦では立ち合いで突っかけ、そこから自滅する形で2敗目を喫した。この日はその反省を生かした形だ。久々の本場所の土俵で番数をこなすことで相撲勘が戻ってきているのか。栃ノ心を退けた前日に続く白星を、藤島審判長(元大関武双山)も「いい内容だ」と評価した。

 これで幕内勝利数は712勝となり、日馬富士(元横綱)と並んで歴代6位になった。しかし、8場所連続休場からの再起をかける身に、その記録に関心を寄せる余裕はないだろう。

 最低限クリアすべき一山は越えた。終盤戦では横綱、大関陣との対戦が控える。横綱としての務めという意味では、やはり2桁の勝利が欲しい。(金子智彦)

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