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 ラグビーの2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本の躍進を支えたFB五郎丸歩(ヤマハ発動機)は、来年の自国開催W杯をきっかけに、ある芽生えを期待している。「日本独自の応援スタイルができるといい」

 日本には長年、「ラグビーは静かに観戦するもの」という風習があった。野球やサッカーと違って鳴り物は御法度。絶えず応援歌が響くこともない。それを五郎丸も疑わずに育った。競技の母国イングランドに乗り込んだ15年、あの独特のしぐさでキックの動作に入るとスタジアムは静寂に包まれた。騒ぐ者がいれば周りが注意していた。心地よかった。

 しかし、W杯後に移籍したレッズがあるオーストラリアでは空気が違った。「常ににぎやか。ブーイングも普通にある」。16、17年には北半球屈指の強豪トゥーロンの一員としてフランスでプレーし、さらに驚いた。トランペットにアコーディオン。試合日は朝から市民バンドの演奏が街を包み、試合中も観客席で始まる。「みんなで楽しみ尽くす。イングランドとはまた違った雰囲気の良さがあった」

 そんな経験を重ねてきて思う。「見方は様々。日本人は祭り好きだし、日本ならではの盛り上がり方が定着したら、もっとラグビーが根づくかも」。世界中からファンが集まるW杯は、各国の応援を肌で感じて刺激を受けられる場。「日本スタイル」が醸成される出発点にはもってこいだと考える。「『こうしよう』と誰かが決めつけるのではなく、自然発生的に浸透すれば、なおいい」

 スポーツを「生活になくてはならない文化」ととらえる五郎丸らしい着想だ。(中川文如)