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 静岡市北部を通るリニア中央新幹線の南アルプストンネル工事の静岡工区について、JR東海は18日、本体のトンネル工事の準備のため、作業員宿舎と林道の工事に着手した。トンネル工事に反対している静岡県は準備工事については容認しているが、市民団体からは準備工事の中止を求める声や県の対応への不満の声が上がっている。

 JR東海によると、作業員16人とトラック3台が同日、現地入りした。正午過ぎから作業を始め、仮設事務所や看板を設置したという。同市葵区の椹島(さわらじま)と千石、西俣の3カ所に工事作業員用の宿舎計20棟や事務所などを建設するほか、工事車両が通る林道を整備する計画。

 大井川の流量減少を懸念してトンネル工事に強く反対している県は、「宿舎工事が自然環境に与える影響は極めて軽微」などとし、準備工事を容認する考えを示している。川勝平太知事も同日、報道陣に「水の問題についてのみ、懸念を持っている」と説明し、改めて準備工事には反対しない姿勢を明らかにした。

 一方、リニア工事に反対する市民団体からは、トンネル工事に反対しながら準備工事は容認する県の姿勢に不満の声が上がった。「南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡」は同日、川勝知事宛てに準備工事の中止を求める申入書を提出。共同代表の松谷清・静岡市議は「準備工事の後には本体(トンネル)工事が待っている」と指摘した。「リニア新幹線を考える県民ネットワーク」も同日、準備工事に反対する声明を発表し、林克・共同代表は県庁で開いた記者会見で「着工という点では政治的意味がある。(準備工事を認めれば)なし崩しになることを危惧している」と懸念を示した。(宮廻潤子)