[PR]

新ばえ佃煮(税別398円)

新ばえ? 尾張西部から岐阜にかけての水郷地帯は、当欄で何度かディープなご当地食を発掘してきた、ご当地食の聖地。謎めいた食材はまだあります。

 「新ばえはフナの子です」と教えてくれたのは、蟹江で創業70年の「鈴木食品」の3代目となる、鈴木英一郎専務。新ものの「新」ではなく、若いフナの地元の呼び名で、昔からその佃煮(つくだに)は押し寿司(ずし)を飾る郷土の味だったそうです。ファンにお年寄りが多いのは、懐かしさのほか、似たような地域の川魚「モロコ」より身が軟らかいこと、カルシウムが豊富なこと、さらに大人だけの味覚「ほろ苦さ」が人気の秘密ではないかと分析。

 心配は「祖父が創業した当時、この辺りは漁港もあり漁師もいて、海と川の魚が自慢でしたが、現在は残念ながら川魚は他県に頼らざるを得ません」と、ほろ苦さを覚える、蟹江を取り巻く環境の変化でした。

 しかし味の決め手を担うのは今も変わらない、七宝みそ・しょうゆで有名な佐藤醸造と、自然のうまみが生きている甘強みりんの甘強酒造。地域を代表する自慢の地元の味をまとった新ばえは、ふっくら炊きたての新米の最強のコンビとなります。

採取地

ヨシヅヤ津島本店

(愛知・津島)

0567・23・7111

デジタル余話

 サメの煮こごり「うめご」、川の小魚の佃煮をびっしり敷き詰めた「もろこ寿司」、おにぎりみたいな海藻のぐるぐる巻き惣菜(そうざい)「あらめ巻き」など、尾張西部の食文化に驚かされてきましたが、寒ブナを丸ごと大豆と一緒に豆味噌(みそ)で煮た「ふな味噌」の美味(おい)しさも忘れられません。フナの子の新ばえは、また違った味わいで、水郷の食の深さに、おののいています。ただ、鈴木さんによると、三河湾の小女子も不漁続きで、看板商品の「生炊き小女子」はここ3年お休みしているそうで、海の環境も変わりつつあるようです。

     ◇

 菅原佳己(すがわらよしみ) スーパーマーケット研究家。著書に「日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品」など。

こんなニュースも