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 拘置所の職員が裁判所の決定を無視して接見に立ち会い続けたとして、オウム真理教元幹部の林泰男元死刑囚=7月に死刑執行=とその弁護人が、国に計1320万円の賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。市原義孝裁判長は「きわめて重大な過失があった」と述べ、国が精神的苦痛の慰謝料などとして計25万2千円を支払うよう命じた。

 訴訟は地下鉄サリン事件などに関与したとして死刑が確定した林元死刑囚と、再審請求審で弁護人を務めていた吉田秀康弁護士が起こしていた。林元死刑囚は5月の結審後に執行されたが、民事訴訟法の規定により一審判決までは原告の立場となる。

 判決によると、東京地裁は林元死刑囚の申し立てを受けて2016年12月、吉田弁護士との打ち合わせで拘置所職員を立ち会わせてはならないという決定を出した。しかし、東京拘置所は従わず、翌17年4月まで計6回、接見に職員を同席させた。

 判決は、「十分に尊重すべき秘密面会の利益を侵害した」と指摘。そのうえで「弁護人による再三の抗議にもかかわらず、立ち会いを続けた。行政庁に対する信頼を失墜させる異常な事態で、きわめて重大な過失があった」と違法性を認め、慰謝料としてそれぞれ12万円の賠償が相当だと判断。林元死刑囚については弁護士費用として1万2千円の賠償も認めた。

 国側は裁判で「拘置所長は、(一時差し止めの)決定の効力が生じているとは認識していなかった。慰謝料で償うほどの苦痛は生じていない」などと主張していたが、退けられた。(阿部峻介)