目標は全町民出演 「厚真の明るいニュース届ける」FM

遠藤美波、斎藤茂洋
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 北海道地震で大きな被害が出た厚真町むかわ町で、臨時災害FM局が相次いで開局した。生活情報や町民の声を届け、つらい経験をした人たちに寄り添おうという狙いだ。

 土砂崩れで36人が亡くなった厚真町で20日、「あつま災害エフエム」(周波数81・4メガヘルツ)の放送が始まった。「全国に厚真の悲しいニュースが流れたけど、このラジオではみなさんに明るいニュースを届けたい」。町役場の特設スタジオで、町まちづくり推進課主査の丸山泰弘さん(38)とボランティアパーソナリティーの村上紗季さん(31)がマイクに向かって語りかけた。この日は罹災(りさい)証明書や入浴支援などの生活情報を伝え、約20分間の生放送を終えた。

 町は以前から防災無線SNSで生活情報を発信してきたが、「車内や小型ラジオからも情報が聞けたら便利」と開設を決めた。

 身近に感じてもらえるよう、目標は「全町民の出演」。初回に出演した村上さんは町内で起業を目指す「地域おこし協力隊員」として4月、札幌市から移住したところだった。「近所を歩くと『お茶飲んでいきなよ』と声をかけてくれる。町の人のおかげで寂しくなかった」。恩返しがしたいと引き受けた。

 放送は平日午前8時、正午、午後6時からで、それぞれ約15分間の生放送。出演者は随時募集している。

 むかわ町の「むかわさいがいエフエム」(周波数88・5メガヘルツ)は19日に始まった。出演した竹中喜之町長は地震直後のことを、「家の中はガラスの破片で足の踏み場もなく、なかなか行動に移せなかった」。最初のリクエスト曲として竹中町長が選んだ中島みゆきの「糸」が流された。

 続いて避難所で暮らす男子中学生が登場。「周りの友だちはどう?」と問われ、「結構、元気」と笑顔で答えた。

 放送は平日午後6時から約1時間。炊き出しの予定、災害ごみの受付場所といった生活情報や町民の声を紹介する。パーソナリティーは2人で、むかわ町で生まれ育った今村京子さん(68)は「スーパーの情報など主婦目線でお伝えしたい」。小樽市出身で、寺の跡継ぎとの結婚を機に町で暮らすようになった久保田夕子さん(52)は「避難している方々がたくさんの良い情報を得て元気になってくれれば」と話した。

 総務省によると、臨時災害放送局は、大規模災害時に自治体が国に開設を申請する。東日本大震災や今夏の西日本豪雨の際にも各地で開局した。(遠藤美波、斎藤茂洋)