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 2020年東京五輪・パラリンピックを控えたスポーツ界で、パワーハラスメントや助成金流用などの不祥事が相次いでいる。国は競技団体(NF)への監督を強める方針で、NFのガバナンス(組織統治)立て直しに乗り出した。スポーツ界側には独立性が脅かされかねないという懸念が根強い。

 体操界で大きな騒動が起きたのは8月だった。

 暴力行為をしていたコーチの処分を巡って、リオデジャネイロ五輪代表だった宮川紗江選手(19)が記者会見を開き、日本体操協会幹部からパワハラを受けていたと訴えた。

 「正式な訴えが出たら対応する」(山本宜史専務理事)としていた協会は会見の翌日、弁護士で構成する第三者委員会を設けて調査すると方針を一転させた。

 事態を悪化させたのは、調査対象となった塚原光男副会長(70)と妻の千恵子女子強化本部長(71)だ。「なぜこんなうそをつくのか」と宮川選手を批判。ワイドショーに出演してパワハラ疑惑を否定するだけでなく、今回の問題に直接関係ない宮川選手の所属契約変更を持ち出した。

 光男氏は1968年メキシコ大会から五輪3大会で計5個の金メダルを獲得。朝日生命クラブで指導を続け、01年から協会常務理事に就いた。千恵子氏は08年北京五輪から3大会連続して女子監督を務め、協会常務理事でもある。

 協会が沈静化を求めても両氏はメディア出演を続けて泥仕合に。協会幹部は「コントロールができない状態」と認めた。第三者委にいわば丸投げする協会の対応にも批判が集まった。

【動画】体操女子の宮川紗江選手が訴えた「パワハラ」疑惑の真相は? 体操協会内で大きな影響力を持つ塚原夫妻の主張は? ポイントを動画で解説=根本寿彦撮影

 協会は疑惑発覚当初、今月25日にカタールで始まる世界選手権に向けて千恵子氏をそのまま現場に置いた。塚原夫妻の職務停止を発表したのはパワハラ告発から12日後。対応は後手に回り、ガバナンスの未熟さをさらけ出した。

 1月には、多くのメダリストを育てた日本レスリング協会の栄和人強化本部長(58)が五輪4連覇中の伊調馨選手(34)にパワハラしたとする告発状が出された。協会は当初否定したが、第三者委がパワハラ行為を認定。栄氏は辞任に追い込まれた。

 日本ボクシング連盟でも山根明会長(79)が助成金流用や不正判定の告発を受け、8月に会長を含めた理事全員が辞任した。

「潜在していた問題」

 選手や競技関係者からの告発で不祥事が表面化していることについて、日本ウェルネススポーツ大の佐伯年詩雄教授(スポーツ社会学)は「選手や指導者から、平等でないという不満などが五輪開催(決定)をきっかけに噴出している」と説明する。東京五輪は、公約の一つに「選手第一」を掲げて招致が決まった経緯もある。さらに、佐伯教授は「スポーツ界に潜在していた問題だ」と言い、今後も出てくると予測する。

 アマチュアスポーツを中心に、NFは元々、愛好者による組織だった。選手強化を進める中で実績を残した選手や指導者が発言力を増し、役員となって権力を手にしてきた構図は各NFで共通する。年功序列や上意下達が組織の文化となった。こうした流れの大きなきっかけは64年の東京五輪開催だ。

 笹川スポーツ財団が14年に各…

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