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 2年後の五輪・パラリンピックに向けて、東京都内のタクシー業界が変貌(へんぼう)している。延べ約9千人の運転手が英会話講習を受け、お年寄りも使いやすいワゴン型の新型車は法人タクシー車両の2割以上にまで増えた。中心だったビジネスマンから客層を広げ、苦境を打ち破りたい狙いがある。

 「Hospitality Taxi(ホスピタリティータクシー)」。羽田空港国際線ターミナル(東京都大田区)に、こんなステッカーを付けた車両が並ぶタクシー乗り場がある。運転手が外国人観光客らに「Where are you going?」などと英語で話しかけていた。

 業界団体・東京タクシーセンター(東京都江東区)などが2014年に設けた「英会話でおもてなしができる運転手が並ぶタクシー乗り場」だ。センターが12年に始めた英会話講習の修了者のみが利用できる専用レーンの設置でできた。高塚昌光・企画広報課長は「増え続ける外国人客へのサービス向上が目的」と話す。

 「『May I ask』を文頭につけると、『失礼ですが……』と丁寧な表現になります」

 7月、その講習をのぞいた。20~50代の運転手30人が外国人講師らに教わりながら、運賃の説明文などを反復して声に出し、学んでいた。運転手と外国人客の役に分かれ、降車まで英語で話してみる模擬演習も。「クレジットカードが使えなかった時は?」「コースはどう確認を?」……。すぐに使える英語表現を身につけようと、3時間の講習の間、受講者の質問も続いた。

 「五輪開催が決まって外国人客が一気に増えた。2年後には最低でも日常会話はできるようにしたい」と受講した大川成一さん(57)。上野駅(東京都台東区)でいつも客を乗せるが、10年前に月1回ほどだった外国人客が今は1日約10人もいるという。センターによると、講習を受講した修了者は延べ約9千人に上っている。

 都によると、都内を訪れる外国人客は17年に推計約1377万人で、5年前の約2・5倍。これにとどまらず、都は五輪・パラリンピックが開催される20年までに2500万人まで増やす目標を掲げる。富裕層も多く、東京の公共交通網に慣れない外国人客を取り込もうと、タクシー業界は躍起だ。

 羽田空港国際線ターミナルでは、客を乗せるタクシーが1日平均1500台(今年6月現在)となり、専用レーンを設けた14年同月比で約2倍になった。センターは来年4月、さらに難易度の高い独自検定の合格者だけが使える専用レーンを同空港に設ける予定。今年度中に東京駅にも設置を検討している。8月には中国語講習も始めた。大手の「日の丸交通」(東京都文京区)は外国人運転手を増やしており、現在14カ国33人の在籍者数を、五輪までに100人にするという。

 一方、車両の変化も進んでいる…

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