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医療編1

 7月上旬、記者は中国沿海部の浙江省にある杭州市腫瘤(しゅりゅう)医院を訪ねた。ここには多くのがん患者が入院している。外観は普通の病院だが、なかでは世界に先駆けた新たながん治療の臨床研究が進んでいた。ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9(ナイン)」を用いて患者の血液に含まれる細胞の遺伝子を操作し、免疫の力でがん細胞をたたく方法だ。

 「海外からの患者も多い。今だとインドから来た患者が入院している。少し前は体調を崩していたが、例の治療で良くなりつつある。会ってみるか」

 院長の呉式琇(54)の紹介で、病棟の3階に案内された。8畳ほどの個室の中央にベッドがあり、そこにパジャマ姿のサンジュティ・サワール(56)が横になっていた。顔色は悪く、首元からは治療用チューブが延びている。末期の食道がんを患い治療法がなくなったサワールは、知人のつてをたどって中国にやってきた。最後の希望が、この臨床研究だった。

 記者の問いかけに、サワールは「不安はもちろんある。ただ、他に方法はない。これが最善だと信じている」とか細い声で話した。

末期がん患者もすがる中国の先端医療。欧米で「慎重になるべきだ」と指摘される治療法まで実行できる理由とは。後半で紹介します。

 狙った遺伝子を効率良く編集で…

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