「葵の紋」の金箔瓦みつかる 家康生まれた岡崎城
大野晴香
徳川家康が生まれた岡崎城(愛知県岡崎市)で、徳川家の家紋「葵(あおい)の紋」の金箔(きんぱく)瓦が出土した。城郭では名古屋城で葵の紋の金箔瓦が見つかった例はあるが、全国的には珍しいという。
岡崎市教育委員会が20日に発表した。市教委によると、飾りとして屋根に取り付けられる小菊瓦とみられ、8月下旬~9月上旬の発掘の際、天守台北側の深さ約10センチの地中から見つかった。直径は約11センチ。技法から江戸時代初期に製造されたとみられる。当時の城主は徳川家ではなく、譜代大名の本多家だった。
金箔瓦は、織田信長や豊臣秀吉が一門や重臣らに限る形で用いられたが、江戸時代になると徐々に使われなくなった。ただ、家康をまつった各地の東照宮で使用例があるという。
岡崎城の本丸には寛永年間(1624~44年)に東照宮が、二の丸には江戸時代初期に将軍の上洛(じょうらく)のために御殿が建てられたとされる。市教委は東照宮や御殿などにこの金箔瓦が使われた可能性があるとみている。
調査をした山口遥介学芸員(35)は「東照宮の金箔瓦なら、本多家が徳川家を顕彰するために使ったとも考えられる」と話した。(大野晴香)