二宮俊彦
2018年10月5日05時06分
工場夜景など産業を観光資源に活用する動きが、中国地方でも広がっています。経済産業省が認定した「近代化産業遺産」が中国5県で最も多い山口県では、石灰石を運ぶ「日本一長い私道」とされる専用道や鉱山を巡るツアーが特に人気です。ツアー全体の参加者は年間1500人を超え、全国からやって来ます。その魅力を探りました。
宇部、美祢、山陽小野田の3市の関係団体でつくる産業観光推進協議会が監修する「大人の社会派ツアー」。石炭の採掘跡などを巡る27種類のコースがあり、中でも一番人気なのが「セメントの道」。9月11日、20~70歳代の参加者とともにバスに乗り込んだ。
まず着いたのが、美祢市にある宇部興産の宇部伊佐鉱山。石灰石を階段状に掘り進めた鉱区が棚田のように広がり、傍らには巨大な煙突がそびえる。鉱区の直径は1・2~1・6キロ。石灰石を運搬する巨大ダンプカーが豆粒のように見える。
1948年に採掘が始まった国内最大級の鉱区で、年間の採掘量は約800万トン、累積採掘量は5億トンに達する。岡山県矢掛町から参加した武逸男さん(65)と妻の智恵美さん(59)は「スケールがでっかく見応え十分。来てよかった」。中国地方の主な観光地は巡ったと言い、「今回は目先を変えてみた」と話した。
ここから宇部市へ向かって伸びる道路が、「日本一長い私道」として知られる総延長約32キロの宇部興産専用道路。鉱山で採掘された石灰石を、沿岸部の宇部セメント工場へ大量輸送するために整備された。制限速度は時速70キロ。「インターチェンジ」もあるが、一般車両は入れない。
バスで走っていると、ダブルストレーラーと呼ばれる特大運搬車と行き違う。全長約30メートルで最大積載量は約88トン。ナンバープレートはなく、2台のトレーラーが連なって走る。整備場も見学コースに含まれ、トレーラーの運転席に乗ることが出来る。専用道路を走ってみたい、と参加した東京都東村山市の板垣遼士さん(20)は山口県を訪れるのは初めて。「何もかもインパクトがあり、東京では味わえない経験ができた」と興奮気味。熱心にカメラに収めていた。
ツアーは2008年度に始まっ…
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朝日新聞社会部