車いすの人向けジーンズ開発 座った状態での利便性追求

上月英興
[PR]

 着脱しやすいジャージーなどで我慢してきた車いすの利用者に、使いやすく格好いいズボンを――。そんな願いを込めて、車いす利用者で山形バリアフリー観光ツアーセンター代表理事の加藤健一さん(37)=山形県南陽市=が東京の縫製会社と連携し、車いすの人向けのジーンズを開発した。年内の発売を目指している。

 通常のズボンは片足につき、前後2枚の布を円筒形になるよう縫い合わせて作る。だが、このジーンズは布を前後左右に4枚使い、ひざが曲がっている時にフィットするよう縫った。そのため横から見た時の形はS字カーブ。座っていても裾が上がったり、シャツがはみ出したりしにくいという。

 ポケットが足の付け根にあると、座ったときに物を出し入れしづらいため、ひざ頭から手前に入れられる位置に変えた。ファスナーは股上の付け根まで開けられるよう長くし、トイレの時や介護者がはかせる時の利便性を高めた。ズボン内側の縫い代は縫い付けて、肌とこすれにくくした。

 21歳で筋ジストロフィーを発病し、32歳で車いすを常用するようになった加藤さん。昨年参加したマーケティングセミナーで、丸安毛糸(東京)の岡崎博之社長と出会い、ジーンズを作ることで投合した。

 岡崎社長の紹介で、宇宙飛行士の船内服などを手がけてきた丸和繊維工業(同)が協力。加藤さんが意見を出しながら、3回の試作を経て8月に完成した。

 商品名はフライング・ジーンズ。加藤さんは「普通のズボンは立ってはくようにデザインされていて、座るとしわが寄るなど、きれいに見えなかった。軽くて感動するはき心地。楽しく着こなしてもらい、障害者の外出促進にもつながればうれしい」と話す。

 サイズはS、M、L、LLの四つ。価格や販売方法は今後検討するが、梱包(こんぽう)や発送は、加藤さんが施設長を務める障害者就労支援施設「LUNA」(南陽市)が担うという。(上月英興)