【動画】モクズガニを使った郷土料理を学ぶ会が開かれた=稲田博一撮影
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 千葉県大多喜町の夷隅川に生息するモクズガニを使った郷土料理づくりを学ぶ会が、同町の旧老川小校舎で22日開かれた。今ではほとんど幻となった料理を、夷隅川漁協の副組合長で県調理師会夷隅支部長でもある高梨喜一郎さん(73)の指導で作って食べた。同校舎を使ってイベントを開いている良品計画(本社・東京都豊島区)が主催した。

 高梨さんの話では、モクズガニは淡水のカニで、大きい雄では甲羅の幅が8センチ近くある。夷隅川では9~11月が漁期。河口近くに産卵のために下るが、上流の大多喜町で捕れるカニが特においしい。かつては地域の祭りや寄り合いのごちそうとして料理された。しかし、町内では捕る漁師が高梨さん1人となり、料理を作る家庭もほとんどなくなったという。

 この日は高梨さんが約30匹を用意。14人が参加して「かにごし」という汁物と「かに飯」をつくった。「かにごし」は、かにを細かくたたいたあとに、白みそを加えてすり鉢でする。すればするほどおいしくなる。水を加えて細かいざるで殻などをこす。野菜を加えて温め、身が凝固してふわふわと浮き上がってくれば出来上がりだ。かに飯は、適当な大きさに切ったカニを、米としょうゆと一緒に炊き、食べるときに殻を取り除く。

 どちらも参加者に大好評だった。生徒として参加した千葉県茂原市のイタリア料理店のオーナーシェフ池田征弘さん(46)は「『かにごし』は雑味がなく、カニの味がダイレクトに伝わってくる。こんなにおいしい郷土料理を昔の人は食べていたというのが衝撃的だ。この味を、年に1日でいいから大多喜町で食べられる企画ができないか考えたい」と話した。(稲田博一)