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 プロ野球・西武ライオンズが30日、10年ぶりとなるリーグ優勝を果たした。2012年、13年の西武担当記者が、印象に残った2人のベテラン選手を振り返った。

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 2012年から担当をしていた2年間、毎日のように早出練習の球拾いをした。印象に残っているのは、鋭い打球よりも、アットホームな雰囲気だった。

 数年前、関係者がこんな話を教えてくれた。食事の場で栗山巧が、ふと言ったという。「将来、俺とさんちゃん(中村剛也の愛称)とお前で、監督、打撃コーチ、バッテリーコーチやったら、絶対楽しいやん」

 「お前」とは、フリーエージェント(FA)権の行使を悩んでいた炭谷銀仁朗。栗山の語った夢が残留を決断させたのかは、分からない。ただ、10年ぶりの歓喜の輪に、3人はそろっていた。

 08年以降、優勝の立役者が次々とFAで巣立った。細川亨、中島裕之(宏之に改名)、片岡易之(治大に改名)、涌井秀章、岸孝之――。でも、中村は一度もFA権を使わなかった。栗山はチームの低迷が続いていた16年、残留を表明した上で行使し、ファンを安心させた。

 2人がチーム内で「兄」のような存在だった。15年に日本新記録の216安打を放った秋山翔吾は、次打者席から見る栗山の姿にプロの打撃を学んだ。浅村栄斗を筆頭に三振を恐れず強振できるのは、中村が6度の本塁打王に輝くなかで醸し出した空気のおかげだ。

 今季の西武は本当に強かった。それを支えたのは、35歳の2人が作り上げてきた一体感なのだと思う。

(2012、13年 西武担当・小俣勇貴)