ここ数年、他人と共同生活をする「シェアハウス」が、母子世帯向けに各地で開設されている。空き家が活用でき、社会貢献にもなるとして不動産業者が始めるケースが多い。全国30カ所を訪ねた研究者は「住まいと生活支援を合わせた仕組みで救われている人がいる」といい、調査結果と課題を小冊子にまとめて出版した。
「見守られる安心感」 一般の賃貸より入居しやすく
神奈川県伊勢原市の住宅街にある、2階建てのシェアハウス。女性(34)は5歳と9カ月の子どもと1階で暮らす。6月下旬に入居した。
1、2階にそれぞれ台所とトイレ、居間、和室がある。家具や家電、バスマットやハンガーは備え付け。単身女性も入居でき、2階の大学生2人と風呂や玄関は共有する。
女性は離婚調停中の夫の暴力から逃げ、実家に身を寄せていた時、ネットでシェアハウスを見つけた。「私たちのためにあるような住まい」と見学した日に入居。今は庭に花を植えたり、近所の高齢者に声を掛けられたり。「見守られている安心感がある。早く仕事に就いて自立したい」
市内の「めぐみ不動産コンサルティング」が2年前、空き家の二世帯住宅を使って始め、現在2棟を運営する。社長の竹田恵子さん(42)自身もひとり親だ。「建物管理より入居者の支援に時間をさいている。他社は手がけないが、困っている人を放っておけない」
シェアハウスの多くは既存の戸建てやアパートに水回りを増設したり、入居者が集える部屋を設けたり。個室で暮らせるが玄関などは共有で、保証金は不要か、比較的安い。
こうした住まいが必要なのは、無職だったりで経済的余裕がない母子が一般的な賃貸に住むのは難しいからだ。公営住宅は空きがあるとは限らず、施設やDVシェルターは深刻な暴力の被害者が優先されがちだ。
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