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 27年ぶりとなる本拠での胴上げに、赤いスタンドが沸いた。26日、広島が球団史上初の3連覇を決めた。今季も他球団を圧倒しての独走優勝。次は1984年以来となる日本一をかけ、来月17日からのクライマックスシリーズ(CS)最終ステージ(S)に臨む。

球界屈指の3番打者に

 マジックを1としてから2試合、足踏みした。27年ぶりに地元で迎えるその瞬間は目の前なのに、広島の街もチームもじれていた。風穴を開けたのは、やはり背番号9だ。

 一回1死二塁で丸。外角に沈む変化球をこともなげにとらえ、中前へ。この先制打の後、鈴木の四球を挟んでさらに3連打、犠飛で計5点。もどかしさを振り払うには十分な攻撃で、3連覇への道を切り開いた。

 この日、先発に並んだ9人に他球団でのプレー経験者はいない。高卒からたたき上げてきた11年目の29歳は、そんな球団の申し子のような存在だ。

 よく練習する。昨季は攻撃の屋台骨を支えリーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。にもかかわらず、本来は若手主体の秋季キャンプに加わり、春季キャンプでも特別扱いは受けない。「現役でいる間は現状に満足することはない」と丸。本塁打はリーグトップに並ぶ38、この試合で三つ積み上げた打点は同3位タイの95。けがで18試合も離脱しながら、MVPだった昨季の成績をすでに上回っている。

 球界屈指の3番打者となった丸の道しるべとなったのが、決して手を抜かなかった新井の存在だ。そして、丸の後を打つのは5歳下の鈴木。今季は自己最多30本塁打を放ち、打点も91。やはり看板選手に成長した6年目の強打者は言う。「年数を重ねていった時に絶対的な存在になれたらいいな、と。いま、丸さん、そんな感じなので」

 緒方監督を9度、胴上げした。「地元での優勝はうれしかったが、360度、ファンの皆さんが喜んでいるのを見て、さらにうれしかった」。丸は穏やかに言った。

 太く、たくましく成長してもなお、高みへ。この地方球団は、慢心なき黄金期を迎えた。(竹田竜世)