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 軟骨の主成分として知られる物質「コンドロイチン硫酸」に、大人の脳内で神経細胞が新たに作られるのを促す働きがあることを、九州大などのグループがマウスの実験で解明した。この物質を利用して神経細胞を効率よく増やせれば、加齢によって低下した認知機能の改善につながる可能性があるという。9月27日付の米神経科学会誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に論文が発表された。

 研究グループによると、一般的に脳の神経細胞は大人になると新たに作られることはなく、加齢などに伴い神経細胞が減ると認知機能の低下につながる。しかし、脳内で記憶や認知機能の中枢を担う「海馬」では、大人でも神経細胞が作られることが知られている。ただ、その仕組みはよくわかっていない。

 そこで九大の神野尚三教授(神経解剖学)らは、海馬にも含まれるコンドロイチン硫酸に着目。薬を使って大人のマウスの海馬にあるコンドロイチン硫酸の量を少なくする実験をした。すると、新たに作られる神経細胞が減り、記憶力も落ちた。また、ふつうのマウスを回し車などで運動させると海馬の神経細胞が増えたが、遺伝子操作で海馬のコンドロイチン硫酸の量を半分ほどにしたマウスでは、運動させても神経細胞が増えなかった。

 神野教授は「海馬のコンドロイチン硫酸の量を増やすことができれば、運動による認知機能改善の効果を高めることが期待できる」と話す。コンドロイチン硫酸は、そのまま食べても胃腸で分解されてしまうため、脳内で作られるのを促す物質の研究を進めるという。(福島慎吾)