天皇、皇后両陛下は28日午前、福井市で29日に開かれる第73回国民体育大会の総合開会式に出席するため、羽田発の特別機で経由地の小松空港(石川県)に向けて出発した。両陛下が国体の総合開会式に出席するのは今回で最後となる。

 国体は国民の健康増進などを目的に1946年に開始。47年には昭和天皇が開会式に出席。49年には香淳皇后とともに訪れた。50年から国体出席を主目的とした両陛下の地方訪問が始まり、全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会とともに「三大行幸啓」と称されるようになった。

 天皇陛下は皇太子時代の87年に名代として皇太子妃美智子さまと初めて出席。即位後は皇后さまだけ取りやめた93年を除き、毎年お二人で出席してきた。

 中国訪問を直後に控えた92年10月、山形県で開かれた開会式では、おことばの最中に男がトラック正面に走り出て、天皇訪中反対を意味する言葉を叫びながら陛下の方向に発炎筒を投げ、異変に気づいた皇后さまがかばうように手を差し出したこともあった。

 戦後50年の翌年の広島県での開会式では、陛下が「戦争によりとりわけ多くの苦しみを経たここ広島県において、この度の国民体育大会が行われ、ここに集う人々が、共に過去を振り返る機会を得たことは、非常に意義深いことと思います」と述べた。戦後60年の岡山県での開会式では、国体がスポーツ復興を願う人々の熱意により終戦翌年に生まれた経緯に触れ、「先人の努力はいかばかりであったかと察せられます」と関係者の労をねぎらった。

 被災者や犠牲者への思いを行動で示す場面もあった。2015年の和歌山県訪問時には11年に起きた紀伊半島大水害の被災者と懇談。東日本大震災後、被災3県で初開催された岩手県での開会式では、参加者とともに震災の犠牲者に黙禱(もくとう)をささげた。大槌町と山田町の復興状況も視察した。

 代替わり後、開会式への出席は、新天皇となる皇太子さまが引き継ぐ。(多田晃子)