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【アピタル+】患者を生きる・スポーツ「難病と闘う」

 体の広い範囲に様々な炎症が起きる難病「全身性エリテマトーデス」(SLE)。その特徴や治療法、生活での注意点について、SLEなどの膠原病(こうげんびょう)に詳しい、順天堂越谷病院(埼玉県越谷市)の高崎芳成院長(68)に聞きました。

 ――SLEとはどんな病気ですか。

 代表的な膠原病の一つです。自分の体を細菌やウイルスなど外界の敵から守る免疫システムに異常が起きて、自分自身を攻撃することで炎症が引き起こされます。全身のいろんな臓器に広範囲に障害をきたすのが特徴です。

 ――病気の原因は何ですか。

 原因はわかっていませんが、20~40代の女性に多い病気です。遺伝的な素因に加え、感染症や一部の薬、紫外線、外傷、ストレス、妊娠などをきっかけに発症することが多いです。

 ――症状にはどのようなものがありますか。

 「ループス腎炎」と呼ばれる腎炎や、チョウが羽を広げたような紅斑が出るのが特徴です。腎炎は患者の8割ほどに起こります。このほか、関節炎、脱毛、口内炎、心膜炎、胸膜炎、肝炎、腸炎、手足の血行障害、うつ病のような精神症状など、頭のてっぺんから足まで、障害されない場所はないくらい体中に様々な症状が起こります。以前は腎炎で亡くなる人が多くいましたが、今は診断や治療法が普及、進歩し、大きく減りました。ただ、治療の途中で感染症にかかって亡くなるケースがあります。

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 ――どんな治療法があるのでしょうか。

 症状が関節炎や皮膚炎のみの軽症の場合は、20ミリグラム以下の少量のステロイド薬や消炎鎮痛剤を使います。軽い腎炎など中等症の場合は、40ミリ程度のステロイド薬をのんでもらいます。重い腎炎があるといった重症の場合は、ステロイド薬を3日間続けて大量に点滴するステロイドパルス療法や、免疫抑制薬を使います。ステロイドは肥満になったり感染症にかかりやすくなったりする、顔が満月のようにむくむ「ムーンフェース」、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などの副作用があります。このため、欧米では使用を減らす傾向があります。免疫抑制薬にも感染症や不妊になりやすくなるなどの副作用があります。免疫抑制薬はここ数年で、欧米でSLEの治療に標準的に使われる薬や、不妊を起こしにくい薬が日本でも使えるようになりました。治療の選択肢が広がってきており、ステロイド薬の減量にもつながると期待されています。

――生活上の注意点は。

 医師に指示された薬を勝手にやめないことが大事です。感染症は症状を悪化させるため、手洗い、うがいを励行し、人混みは避けた方がよいです。あとは規則正しい生活をし、ストレスをためないようにすることです。強い紫外線を避けるようにし、出かけるときは長袖や日焼け止めを塗るといった対策が必要です。

 

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<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・土肥修一)