[PR]

 誰かの役に立っていると感じられることは、生きがいにつながります。それは認知症がある人も同じです。認知症の当事者が、それぞれの「仕事」に精を出す施設を訪ねました。

 認知症対応型のデイサービス「あがら花まる」は、JR御坊(ごぼう)駅(和歌山県御坊市)から車で数分の住宅地にある。認知症デイは、住み慣れた地域で暮らし続ける人を支える「地域密着型」と呼ばれる介護保険サービス事業の一つだ。

 「きょうもお昼ごはんの調理を手伝ってね」。食堂の椅子に座っていた女性(80)に職員が話しかけた。女性は一人暮らしで、7月からあがら花まるに通い始め、いまは週3回利用している。

 この日のメニューはちらしずし。女性は職員に見守られながら、キヌサヤを千切りにしたり、金糸卵をつくったりした。「少しでも手伝えることがあれば。ここだとみんなと話ができる」と、包丁を片手に楽しそうに話した。

 あがら花まるの定員は12人。朝一番、それぞれの「本日の役割」を話し合いで決め、ホワイトボードに書き込む。畑仕事、掃除、配膳、洗濯、日曜大工。アイロンの達人もいて、任せられた「仕事」に精を出す。市役所の植木や花壇の世話をしたり、手づくりのぞうきんを小学校に寄贈したりもしてきた。

 施設管理者の古久保元基さん(38)によると、開所して3年ほどは、体操や塗り絵、折り紙など職員が決めたプログラムをみんなで一緒にしていた。だが、利用者からは「子どもみたいなことをする施設には行きたくない」「まだまだ仕事ができる」「人の役に立ちたい」といった声が上がった。当時の職員たちは、その声に応えることを決めた。

 利用者に役割を振ると時間はかかる。まず、職員間で「待つことが大事」という考えを共有した。その結果、職員が「ありがとう」とお礼を言う機会は増え、利用者は笑顔になり、声には張りも出た。「認知症の施設はいや」と敬遠する人にも「仕事を手伝ってほしい」と呼びかけて、足を向けてもらいやすくなったという。

 本人が暮らしやすい地域づくりや人材育成を担う「認知症介護研究・研修東京センター」の研究部長、永田久美子さんは「一人ひとりの意思を尊重する支援がこれからの重要課題」とし、介護施設はもちろん、「身近な人や近所づきあいの中で一人の小さな願いをかなえていくことがよりよく暮らす力を伸ばしていく」と話している。(北村有樹子)

■「私にも役割ある」 韓…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら