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 すっと伸びやかで笑顔がまぶしい。宝塚歌劇星組の男役スター瀬央(せお)ゆりあが、宝塚バウホール公演「デビュタント」で、単独初主演を果たす。男役10年でめぐってきた役に「タイミングに恵まれている」と素直な気持ちで挑む。

 入団10年目での初主演、決して早くはない。「ずっと自信はなかったけれど、自分に負けるのが嫌だった。与えられた役に、いつも必死にもがいてきた」と振り返る。

 宝塚に興味を持ったのは、中学の時。再会したピアノの先生の影響だった。音楽学校は、3度目の受験で合格。優秀で目立つ生徒が多い95期生のなかで、距離感も感じた。「そりゃあね。そりゃあ、そうですよ。あまりにも差が開きすぎていて、追っかけるというより、『すごいな、みんな』というスタンスでした」。カラッとした笑顔で語る。それでも、親身になって教えてくれる同期がいたから、続けられた。「この同期じゃなかったら辞めていたと思う」

 お芝居に目覚めたのは、専科の轟悠(とどろきゆう)が主演したコメディー「おかしな二人」がきっかけだ。アンダースタディーとして、稽古初日から舞台ができあがっていく様をつぶさに見続けた。「見る側じゃなくて、自分も舞台に立ちたい」と強く思うようになった。

 その轟とは今年、「ドクトル・ジバゴ」で共演がかなった。轟からは「こうやったらいいよ」ではなく、「この場面はもっと格好良くできるから、考えてみて」と常にアドバイスされた。「答えを教えてもらうのは早い。でも、己で考える力を身につけることができた」と経験をかみしめる。

 「腐るなよ。腐ったら終わりだからな」。音楽学校の卒業時に、演出家の正塚晴彦に言われた言葉を胸に抱いてやってきた。初の単独主演は、その正塚作品。男爵家の次男で、社交界デビューに絡んで混乱を引き起こす青年イヴを演じる。「肩に力の入っていないナチュラルな男役で、私にとっては新境地。初心にかえって会話をする芝居を大事にしたい」。芸名の通り、中央に立って、新たな輝きを手に入れる予感がする。

 公演は10月11~22日。チケットは完売。(尾崎千裕)