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 36年前、祖業の米卸から手作り弁当店で創業した「ポストごはんの里」。今は「冷凍ずし」というニッチな市場で存在感を示している。「自分たちしかできないこと」への挑戦を続けてきた広島県の企業に吹く追い風とは。

 酢飯の香りがほんのりとただよう。広島県海田町の工場の製造ラインには子どものこぶしぐらいのごはんが流れ、揚げをまとったいなりずしが次々にできあがった。その数、1日約7万個。これをマイナス40度でかちこちに急速冷凍し、全国に出荷する。

 「解凍した後でもおいしい」のが売りだ。米は温度変化に弱く、冷凍や解凍をすると、米から水分が抜け、ぼろぼろになる白蠟(はくろう)化が起こる。中村誠一社長(37)は、「米の銘柄や炊き方、急速冷凍の時間などに技術やノウハウがある」と胸を張る。弁当店、コンビニ、冷凍食品メーカーとビジネスのかたちは変われど、「米」という軸はぶれない。

 いなりずしの他に、巻きずし、肉巻きおにぎりなど、米を使った冷凍食品がラインナップの中心だ。病院や介護施設、ホテルなどの業務用が大半を占める。

 競合が少なく「ニッチで小さい市場」だ。そこに今、追い風が吹いているという。「人手不足が深刻で、少しでも調理の手間を省きたいというニーズが広がっている」と中村社長。

 共働き世帯の増加は、家庭用の販売拡大のチャンスを生んだ。新商品づくりにも力を注ぐ。「他社と同じことをやっても意味がない。自分たちしかできないことを考え、価値をつくっていきたい」(近藤郷平)