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 バレーボールの全日本女子に新たなヒロインが生まれそうだ。29日に横浜など各地で開幕する女子世界選手権で、チーム最年少、20歳の黒後愛(東レ)が初めての4大大会に挑む。世界選手権の日本開催は8年ぶり。当時、主力だったのが「サオリン」の愛称で人気を誇った木村沙織さん。黒後にとっては高校の先輩であり、木村さんが東レで現役を退いた後、後を追うように東レに入った。「木村沙織選手はずっと見てきた存在。どの試合でも点を取って欲しい場面で取っていた印象で、すごく憧れていました」と言う。

 自他ともに認める強打のアタッカーだ。中田久美監督は「パワーだけなら、チームナンバーワン」。左利きの長岡望悠、2016~17年のVリーグMVP古賀紗理那と並ぶ得点源として期待されている。黒後は「持ち味のパワーを生かせるプレーをしたい」と言う。

 東京・下北沢成徳高では1年から春高(全日本高校選手権)に出場し、2年、3年では優勝と最優秀選手賞を獲得した。高校の小川良樹監督は「体・技・心」を説いた。体が強くないといいプレーはできないという方針で、専属トレーナーがついて週3回の筋トレをこなした。当時、小細工をほとんどせず、ブロックをはね飛ばすようなアタックは異彩を放った。

 そうして鍛えた自慢のパワーに最近は跳躍力も加わった。体脂肪率は「言いたくないよ~」と細かな数字こそ語らないが、「脂肪は重りなので」と3~4%減らした。その結果、最高到達点は3メートル超えの306センチに。「飛んでるなという感覚がある」。スパイクにも好影響を与えている。

 今夏に開かれたアジア大会で日本は4位に沈んだ。黒後もアジアで勝てない現実に厳しさを感じ、今では、朝にコーチとマンツーマンでサーブレシーブの練習に励んでいる。

 世界選手権は五輪の中間年にある大会で歴史と参加国の多さで五輪をしのぐ大きな大会だ。10年大会で日本は木村さんの活躍もあり3位に入り、ロンドン五輪の銅メダル獲得につなげた。今大会、同様の結果を残すことが20年東京五輪につながっていく。黒後は「今年、チームは結果が出ていない。勝ちたい思いを形にしたい。『チーム全員で戦いきったね』と思える大会にしたい」と決意を語った。(能田英二)