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 金メダルをジャージーのポケットに入れ、男子60キロ級の高藤直寿(たかとうなおひさ、パーク24)が一番乗りで会見場にやってきた。アゼルバイジャン・バクーであった柔道世界選手権の閉幕から一夜明けた28日、個人戦で優勝した7人の金メダリストがそろっての記者会見があった。

 私の記憶では、昨年の世界選手権(ブダペスト)翌日の会見に、高藤は寝坊して他の選手よりも遅れてきた。過去には日本代表の集合時間に遅刻を繰り返し、強化指定AからBに降格されたこともある。この1年は嫌いだった野菜を食べるようになり、栄養士の助言も聞くようになった。時間を守ることを含め、それぞれは小さな変化でも、少しの積み重ねが25歳をさらに進化させていると感じる。

 今大会では最大のライバルの永山竜樹(東海大)と準決勝で対戦し、激しい攻防の末に優勢勝ち。「海外選手も去年より気持ちが入っていた。東京五輪が近づいてきて、本気になってきていると感じた」という中で果たした2連覇だった。

 日本チームの打ち上げがあった前夜は、アゼルバイジャン名産の赤ワインに酔いしれた。4歳下の阿部一二三(日体大)ら仲間たちとはしゃぎ、張り詰めていた緊張を一気に解放した。しかし、一夜明けて柔道を語る顔には、もう緩みはない。「ここから柔道そのものが強くなることはないと思う。だけど、細かい技術やトレーニング、私生活も含めて、もっと突き詰めていくことはできる」。カスピ海をのぞむ高台の宿舎で放った力強い言葉には、説得力があった。(波戸健一)