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【2015年11月19日朝刊外報面】

 内戦状態が続くアフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)。紛争下で、多くの女性たちが無差別的なレイプを受け続けている。救済に取り組む現場の医師たちは、国際社会がもっと被害に目を向けるべきだと訴えている。

連れ去られ、幼児までも

 午前7時、東部ブカブ近郊のパンジ病院。鉄製の柵で守られた病院の中庭に、民族衣装の女性たちが集まってきた。太鼓のリズムに合わせて、スワヒリ語の聖歌を歌う。ほぼ全員がレイプの被害者だ。

 病院では内戦が始まった1998年から、兵士らに性暴力を受けた女性たちを受け入れてきた。その数は計約3万人に上る。

 被害女性の多くは、けがをしているだけでなく、家族の面前でレイプされ、精神的な傷を負っている。

 そのため、病院では運び込まれてもすぐに手術をせず、まずは何が起きたのかを理解させる。多くは自暴自棄になっており、手術をしても、食事を取らなかったり、薬を飲まなかったりするからだ。産婦人科医は「元通りの暮らしに戻れるまでには、少なくとも1年かかる」と話す。

 院内のケア施設では約200人の女性が暮らす。30代の女性が「事実を知ってほしい」と取材に応じた。

 99年、教会で礼拝中に武装集団に囲まれ、2人の女性とともに森に連れ去られてレイプされた。翌日、女性2人は逃げようとしたが見つかり、灯油の入ったバケツを頭に担がされ、火をつけられて亡くなった。

 その後、自身は武装集団の部隊長の「妻」にさせられ、森で暮らした。レイプは続き、3人の子どもを産んだ。4年たったある日、部隊長に「なぜ言うことを聞かないんだ」と銃剣でのどを刺された。数週間後、兵士らが出かけた隙に子ども3人を連れて逃げた。

 「今の不安は子どもたちのこと。父親が戦場のレイプ魔だったと知ったら、どんなに悲しむか」

 子どもの被害も少なくない。ブカブ北方の村で母親(33)の足にまとわりついていた少女(3歳10カ月)も、その一人だという。

 母親によると、2014年9月上旬、少女を置いて外出している間に武装集団が侵入し、少女を襲った。村ではその日、18歳までの計20人がレイプされたという。母親は「毎日おびえている。逃げたいが、避難場所が見つからない」。

 病院の運営担当者は「病院でケアを受けている200人のうち、25人は10歳未満の子どもだ」と話した。

「影響、何世代も続く」治療するムクウェゲ医師

 パンジ病院の設立者、ドニ・ムクウェゲ医師(60)は今年10月9日、午前7時から午後10時まで、14~18歳の少女4人を含む計11人の手術に追われた。

 その日はノーベル平和賞の発表日。毎年のように候補に挙がるムクウェゲ氏は翌朝、「発表日だったことは知っていた。でも、患者が手術を待っている」と話した。周囲では戦闘が続き、数日前には計30人の女性が搬送されてきていた。

 12年、国連で「国際社会は問題に無関心だ」と訴えた直後、武装勢力に自宅を襲われ、ガードマンが射殺された。以後、家族と病院に住み込んで治療にあたりながら、「アフリカの紛争地では、レイプが地域社会を破壊する『兵器』として使われている」と訴えている。

 戦闘員は敵対する民族の女性を…

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