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(「WEBRONZA」配信の記事を再構成)

 安田純平さんが、帰国した。

 解放直後に公開された動画や機内での報道陣とのやりとりをみる限り、やつれた表情ながらも受け答えははっきりしており、口調も冷静でしっかりしている。

 その慎重で沈着な姿は、私の知る彼そのものだ。友人として喜びの感情がわく前に、3年4カ月に及ぶ過酷な拘禁状態を耐え抜いた強靱(きょうじん)な精神力にまず驚き、敬意を抱いた。

 拘束生活のうち8カ月間は高さ1・5メートル、幅1メートルの独房に監禁され、「虐待状態がずっと続いていた。精神的な負担もかなりあった」という。

 7月末にネットに投稿された動画のなかで安田さんは「私の名前はウマルです。韓国人です」と不可解な発言をしていた。これについては「拘禁反応で錯乱状態なのでは」「抵抗の意思表示だ」「自分の発言をフェイクと受け止めろというメッセージだ」などと様々な臆測が飛び交ったが、真相は「自分の本名や日本人であることは言うなと要求された。他の囚人が釈放された後に監禁場所をばらしたら、攻撃されるかもしれないから」だったといい、拘束グループのルールに従っただけだと説明した。

 真実は想像をやすやすと超える。

 なぜ解放がこのタイミングだったのかについて、ニュースや紙面では「シリア内戦で劣勢になった反体制派の焦燥が募り、人質を抱えているのが重荷になった」「カタールとトルコの尽力は、共通の敵のサウジアラビアが記者殺害疑惑で国際的非難を浴びているのを横目に、自分たちは人権やジャーナリストを尊重しているとアピールする狙いもあった」といった見立てが盛んに報じられている。身代金をカタールあるいは日本政府が支払ったのかという一大関心事をめぐっても、推測が広がる。これらにも思わぬ事実が飛び出す日がやってくるのだろうか。

 外交案件かつ人命案件という事件の全容に迫るのは難儀だが、拘束までの経緯や武装組織の内情などは、安田さんが帰国直後に「可能な限りの説明をする責任があると思っています」との言葉を残しているので、11月2日の記者会見で本人の口から語られるだろう。背景の解説も中東情勢の専門家に任せ、少し別の視点から、今回の事案で浮かび上がったいくつかの問題を考えたい。

3年4カ月にわたりシリアで拘束されていた安田純平さんが帰国し、危険地取材とメディアのあり方が注目されています。安田さんと高校の同窓で、長年交流がある特別報道部の石川智也記者が考察します。

 最も心配していた本人や家族へ…

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