[PR]

 飛鳥時代後半(7世紀後半)の創建とされる石川県野々市(ののいち)市の末松廃寺(すえまつはいじ)跡(国史跡)で、女子像の刻まれた土製品がみつかった。市教育委員会が10月31日に発表した。市教委によれば、土製品は9世紀ごろにつくられた寺院の塔を焼き物で表現した「瓦塔(がとう)」の一部とみられ、絵の描かれた瓦塔の出土は全国初。仏教の弥勒菩薩(みろくぼさつ)に仕える天女との見方も出ており、古代仏教の広がりや瓦塔信仰の実像を考える上でも注目される。

 土製品は縦19センチ、横9・5センチ、厚さ1・5センチの板状で、瓦塔の初層(1階)にあたるとみられる。初層の正面に女子像(縦約17センチ、横約7センチ)が先のとがった工具で刻まれていた。髪の毛は長く、笑顔で、手に儀式に使う道具「払子(ほっす)」を持つ。縦縞(たてじま)模様の「裳(も)」と呼ばれるロングスカート状の衣服を着け、つま先の跳ね上がった靴を履いている。払子を持つことなどから、弥勒浄土の天女を描いた可能性が指摘されている。

 瓦塔は主に8~9世紀につくられ、高さが1・5~2メートル程度。木製塔の代用品として信仰の対象とされてきた。末松廃寺は8世紀ごろに建て直され、今回出土した瓦塔も9世紀以降のものとみられる。

 奈良文化財研究所(奈良市)の松村恵司所長は「ほほえんでいて愛らしい像だ。弥勒浄土への往生という瓦塔に対する具体的な信仰の内容を示す貴重な資料で、弥勒信仰が北陸地方に浸透していたことがわかる」と話す。

 瓦塔は1~13日は野々市市の「学びの杜ののいちカレード」で、15日~12月16日は市ふるさと歴史館で特別展示される。現場の末松廃寺跡の公開は11月4日午前10時~午後2時。問い合わせは市教委(076・227・6122)へ。(沼田千賀子)