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 アップルは9月にiPhoneの発表をしましたが、今年発売すべき製品にはまだ「積み残し」があったようです。

 10月30日、同社は米ニューヨークで発表会を開催し、「iPad Pro」と「MacBook Air」、そして「Mac mini」のリニューアルを公表しました(写真1)。どの製品もすでに予約は始まっており、11月7日より販売されます。

 今回の特徴はどの製品もこれまでにないほどのリニューアルが行われました。特にiPad Proは、2010年のiPad登場以来、最大の変化をしたといっても過言ではありません。新製品群でアップルがなにを狙っているのかを分析します。(ライター・西田宗千佳)

ついにMacBook Airがリニューアル

 今回の発表会は、アップルのおひざ元であるサンノゼやサンフランシスコではなく、北アメリカ大陸の反対側の大都市、ニューヨークで開催されました。その理由をアップルのティム・クックCEOは「ニューヨークがクリエーティブな都市であること」「多くのMacやiPad Proがクリエーティブな人々に使われていること」と説明します(写真2)。

 アップルのビジネスの柱がiPhoneであることは疑いないのですが、同時に生産のための道具としてのコンピューターを作り販売することもまた、アップルの得意としてきた分野です。今回発表した製品はそれを底支えするような存在であり、アップルとしてもそれを強調するのにふさわしい土地として、ニューヨークを選んだのでしょう。

 さて、最初に発表されたのはMacです。日常の道具としてパソコンを必要としている人はたくさんいます。そこでMacは支持されており、今も新規ユーザーを増やし続けています。一方で、この10年にMacユーザーを増やす最大の原動力となった製品は、長くデザインの変更も性能面でのアップデートも行われていませんでした。

 その製品とはMacBook Airです(写真3、4)。ちょうど10年前に初代モデルが発表され、薄型かつアルミボディーのノートパソコンという2010年代のトレンドを作り上げた、世界で最も愛されたノートパソコンでありつつも、機能面でのリニューアルは、スペックに優れたMacBook Proや小型なMacBookが先行していました。CPUの小幅な改良・変更はあったものの、デザインを含むリニューアルはもう6年も行われていませんでした。

 MacBook Airを待ち望む人々が期待していたのは、「13.3インチのMacBook Airと同じようなサイズで、ディスプレーが高解像度な『レティーナ・ディスプレー』になっているモデル」です。そして、今回発表された新型MacBook Airは、ユーザーが待ち望んだものをほぼそのままかなえたような製品になっていました。

Mac miniも

 新しいMacBook Airの特徴は、すでに述べたように、ディスプレーが高解像度なものになったことです。従来のMacBook Airに比べ4倍精密なものになりましたが、これは、MacBook Proでは当然だったもの。iPhoneなどでは同じレベルの「レティーナ・ディスプレー」を使うことが当たり前ですが、普及価格帯のパソコンではなぜか、かなり低い解像度のディスプレーが使われることが多くなっています。MacBook Airも価格重視であったためか、レティーナ・ディスプレーは使われていませんでした。しかし、スマホでは高解像度なディスプレーによる美しい写真や文字を見るのが当たり前になっているので、パソコンだから解像度が低いというのは通じにくくなっています。だからこそ、MacBook Airの「レティーナ化」が待ち望まれていたのです。

 レティーナ・ディスプレー化に合わせ、設計も大幅に刷新されました。ディスプレーの周囲の縁(ベゼル)が細くなったため、本体のサイズは小さくなりましたし、CPUの低消費電力化も進んだので、ボディーも薄型化が進みました。結果的に、体積は17%小型化しています。

 また、指紋認証機能である「Touch ID」にも対応しましたし、キーボードやタッチパッドも、最新のMacBook Proが使っている技術と同じ世代のものに変わっています。本体色も、アップルがここ数年ずっと使っているシルバー、スペースグレー、ゴールドの3色になりました。結果的に、12インチのMacBookを13.3インチのサイズで作ったようなモデルになりましたが、それこそ、多くの人が待ち望んでいたMacBook Airの再来と言えるのかもしれません。

 小型のデスクトップ型MacであるMac miniも大幅リニューアルしました(写真5)。CPUの小幅なリニューアルですら4年間行われておらず、コンパクトで分離型のMacを求めている人をやきもきさせていました。こちらはCPUなどを順当に最新のものにした上で、本体色をスペースグレーに変えています。

 どちらの製品もファンが待っていたのに新機種が出ないものの代表格でしたが、今回、改めて最新機種が出ました。「アップルはiPhoneは重視するが、Macのビジネスに冷たくなった」と言われることもありますが、今回の施策は、そうした印象を払拭(ふっしょく)するに十分なものと言えます。

 そして、あまり目立ちませんが、MacBook AirとMac miniの新型には、共通の要素もあります。それが、ボディーの素材に使うアルミニウム合金を、100%再生アルミニウムを使う形になった、ということです。アップルは自社でアルミの切削機器を作り生産に関する外部の協力会社と共にボディーの製品を作ってきました。そこでは多数のアルミ切削くずが出ますが、再使用しないのはどう考えてももったいないです。そこで、生産技術やプロセスについて慎重な検討を行い、100%、再生アルミニウムを使うMacが登場することになりました。これは単に環境のためだけでなく、アップルがいかに効率的に、低コストに製品を作るか、ということに力を入れている証拠でもあります。長く持続的に製品を大量出荷していくには、資源の手当てをしないといけないからです。iPhoneでもリサイクルを進めていますが、アップルのこの辺りの姿勢には、非常に一貫性があります。

「Face ID」の採用がすべてを変えた

 さて、残るは、今回の主役である「iPad Pro」です。

 このところ「タブレットはビジ…

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