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 漫画家の内田春菊さん(59)は2015年末、大腸がんが見つかった。ご飯や甘い物を制限するダイエットで便秘や痔(じ)になったと思い込んでいたが、食事をもとに戻しても体調が改善せず、検査を受けると病気が判明した。2016年4月にがんを切除する手術を受け、人工肛門(こうもん)になった。ストーマとも言う。

 今回の朝日新聞の連載で、そんな内田さんの体験を紹介したところ、多くの読者から驚きや共感の感想が届いたが、同時に「ストーマのことが分かり、役立った」「治療法などを理解できた」などと、実用面についての声も多かった。

 内田さんは自身の闘病の経緯を漫画にしている。大腸がんを切除してストーマをつくるまでは今年1月刊の「がんまんが」に、その後のストーマ生活は10月刊の「すとまんが」に収録されている。漫画もまた、ストーマの理解を深める「お役立ち情報」が満載だ。

 

 医師から最初に「人工肛門は免れない」と告げられたとき、内田さんは大きな衝撃を受けたが、戸惑いも大きかったという。ストーマがどんなものか、何も知らなかったからだ。漫画では、内田さんが抱いた不安や疑問を、一つひとつ解きほぐしている。さながら漫画全体が「ストーマQ&A」とも呼べそうな趣だ。つまり漫画の姿をしたガイドブックである。

 

 もちろん、ドラマチックな展開のおもしろさも抜群だ。病気をめぐる苦労や悩み、家族や友人との衝突や助け合いが赤裸々に描かれ、読みごたえある。過去の男たちの暴露話や、独特の毒舌なども随所にちりばめられ、ファンにはおなじみの「春菊ワールド」全開になっている。

 

 ストーマって、どういう仕組みなの? どんな道具を使うの? お手入れの方法は? 日常生活はどう変わる? そんな数々の疑問を解きほぐす、漫画ならではの分かりやすさ。内田さんの主治医で日本医科大准教授の山田岳史さんも、内容をゲラ段階からチェックしており、「医学的な記述も正確で、多くの患者さんの正しい理解を助ける」と話す。内容の正しさと、悲喜こもごものおもしろさ。一粒で二度おいしい、意欲作だ。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(伊藤隆太郎)