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 台風24号の影響で、最大10万戸以上が停電した愛知県豊橋市。台風が通過した2日も停電が一部で続いている。医療や買い物、地元の企業活動などに影響が広がった。

 1日未明、約15万世帯が暮らす豊橋市では世帯の約3分の2にあたる約10万6800戸が停電した。

 豊橋駅から約1・5キロの「愛知クリニック」ではこの日朝から透析患者の受け入れを中止した。平日に一日約40人の患者を受け入れているが、機器が動かず、治療用の注射液が保存できないため、決断した。職員は別の病院への案内や送迎に追われた。「こんなに長い停電は初めて。午前中には復旧すると思っていたが……」と男性職員は話す。

 午後も停電は続き、市街地では臨時休業する店が多く見られた。そんな中、「ファミリーマート豊橋西橋良店」は懐中電灯で店内を照らしながら営業を続けた。停電直後に一時閉店したものの、「トイレを貸してほしい」という近隣住人の要望を受けて再開したという。女性店長(55)は「弁当や冷凍庫の中は全てダメになってしまいましたが、売れる物を売っています」。暗い店内に、客がひっきりなしに訪れていた。

 一方で、顧客が電子マネーの決済を利用できない場面も明らかになった。店長は「コンビニで電子マネーの普及を進めているが、こういう時は現金じゃないと買えないのが現実。停電時のあり方も考えないといけない」と振り返った。

 停電は企業にも影響を与えた。人気チョコレート菓子「ブラックサンダー」を製造する有楽製菓の豊橋夢工場は停電のため、1日朝から生産が中止となった。

 豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)は1日は休園日だったが、停電の影響で電動式ドアが開かず、アジアゾウなど大型動物が獣舎で一日を過ごすことに。2日も大型動物の一部が展示スペースに出せず見られない可能性があるという。

 寒冷地の生物を飼育するスペースは非常用電源で室温を保てたものの、照明は暗く、電力で水位を保つアザラシの円筒形水槽は水位が下がったままに。滝川直史園長は「動物は落ち着いており、今のところ問題はない。大型動物の展示は一部見合わせても、2日は開園する」と話す。

 暴風の被害も明らかになった。豊橋市は養鶏が盛んだが、32の事業者が加盟する市養鶏農業協同組合によると、加盟養鶏場の大半で屋根が飛び、鶏舎2棟が倒壊した養鶏場ではニワトリ約1万羽が下敷きになったとみられるという。

 養鶏場では機械を使ってえさやりをしているため、停電のせいで加盟養鶏場の全てでえさやりができず、今後ニワトリが産卵しない恐れもあるという。組合の担当者は「今まで停電がこんなに長く絡んだことはなく損失は大きい」と話す。

 豊橋市は2日、停電で揚水ポンプが使えない建物を想定し、各地で市民向けの給水を実施する。停電していない市民館を午後に開放し、携帯電話を充電できるようにする。電力が復旧するまで続けるという。