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 スウェーデン王立科学アカデミーは2日、今年のノーベル物理学賞を米国のアーサー・アシュキン博士(96)、フランスのジェラール・ムル博士(74)、カナダのドナ・ストリックランド博士(59)の3氏に贈ると発表した。

 授賞理由は「レーザー物理における画期的発明」。ウイルスや細胞のような微小なものをレーザー光でつかむ手法や、超高強度のレーザーパルスをつくる手法を発明し、生命科学や医療への応用に道を開いた。

 アシュキン氏はレーザーを微小な物に当てると、物を捕らえる力が発生することに気付いた。1987年、この仕組みを利用して開発した「光ピンセット」で、生きた細菌を傷つけることなくつかむことに成功した。「光ピンセット」は、いまでは生命科学の研究に広く使われている。

 ムル氏とストリックランド氏は80年代、パルスの幅をいったん広げるなどしてから強度を高める「CPA」と呼ばれる独創的な増幅法を開発。それまでできなかった超高強度の超短パルスレーザーをつくることに成功した。この成果によって、レーザーを使った目の近視矯正手術(レーシック手術)などが可能になった。

 アシュキン氏は、各賞を通して史上最高齢の受賞者となる。ストリックランド氏は、物理学賞では1903年のマリー・キュリー(放射線の研究)、63年のマリア・ゲッパートメイヤー(原子核の殻構造の発見)以来、55年ぶり3人目の女性の受賞者となる。

 授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は3人で分ける。

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 〈アーサー・アシュキン氏〉 1922年、米国生まれ。52年、コーネル大で博士号取得。元ベル研究所員。全米科学アカデミー会員

 〈ジェラール・ムル氏〉 1944年、仏生まれ。73年、パリ第6大学で博士号取得。仏エコール・ポリテクニーク名誉教授・米ミシガン大学名誉特別教授

 〈ドナ・ストリックランド氏〉 1959年、カナダ・ゲルフ生まれ。89年に米ロチェスター大で博士号取得。カナダ・ウォータールー大准教授