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 三菱商事は2日、カナダ西部のブリティッシュコロンビア州に液化天然ガス(LNG)輸出基地を建設する「LNGカナダプロジェクト」への投資計画を発表した。総建設費1・5兆円の15%にあたる2250億円を投資する。2020年代半ばに操業を開始し、日本などアジアへ供給する。

 英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェル、マレーシア国有資源会社ペトロナス、中国ペトロチャイナ、韓国ガス公社(KOGAS)との共同事業。生産量は年1400万トンで、うち15%に相当する210万トンを三菱商事が子会社を通じて輸出する。

 巨額の費用がかかるLNG基地は、北米のシェールオイル・ガスの増産でエネルギー需給が緩んだため、採算が取りにくいとされてきた。

 しかし、新たな基地はカナダ西岸にあり、アジアへの距離が比較的近いメリットがある。北米のシェールガスを輸出する基地は米国メキシコ湾岸にもあるが、パナマ運河を通る必要があり、日本までは約1カ月かかる。これに対し、カナダ西岸から日本へは10日と近い。また、供給国としてカナダは「政治的に安定していることも利点だ」(三菱商事)という。

 さらに、三菱商事は同じ州内にシェールガス田の権益を持ち、そこから原料の天然ガスの調達もできる。

 今後は新興国の成長でエネルギー需要が高まり、LNGは大気汚染の懸念がある石炭よりも有利だ。

 大気汚染が社会問題化する中国は、環境負荷の大きい石炭から天然ガスを使った火力発電への転換を進めており、世界2位のLNG輸入国となった。インド、パキスタン、タイ、ミャンマーなども経済成長に伴って需要が増える見通しで、三菱商事は、17年に2・9億トンだった世界需要が30年には5・3億トンまで増えると予想する。

 東日本大震災を受けて、当面は天然ガスを使った火力発電に大きく頼らざるを得ない日本は、世界最大のLNG輸入国。同社の担当者は「今後は新しくLNGの供給が増えても、それを上回る世界需要がのみ込んでいく状況になる。調達先を多様化して、日本のエネルギー安全保障にも貢献したい」と話す。(鳴澤大)