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 東海地方を相次いで直撃した台風の影響で、全国1位の出荷量を誇る愛知県稲沢市の「祖父江(そぶえ)ぎんなん」の実が早々に落下している。「天災はどうしようもない」。落胆する生産者も少なくない。

 「豊作を期待したけど、ダメだ。9月の台風21号で枝がたたかれ、実が落ちた」。稲沢市祖父江町の生産者、石垣実さん(92)は戸惑いを隠せない。祖父江ぎんなんは大粒で、単価の高いことでも知られる。自身は60本程度のイチョウを育てるが、ギンナンの実がまばらな木も目立つ。9月末も24号の被害を受けた。

 祖父江町山崎地区の光田二郎さん(73)は「台風は想定外だった」。40本のイチョウは計1・5~1・8トンの収穫を見込んでいたが、2度の台風で実が3、4割落ちた。本来は自然落下を待つか振るい落として収穫するが、早くも大量に落ちた。拾い集めて果肉を取り除いて出荷したかったが、急な出来事で人手が足らず、ほとんど廃棄した。25号の進路が気がかりだ。「出荷量が少なく残念。祖父江ブランドに誇りを持ってやるしかない」

 農林水産省の統計では、2015年産のギンナン出荷量は愛知県が全国最多で188・5トン。ほとんどが稲沢市祖父江町産だ。JA愛知西祖父江町支店の村上圭吾さん(40)は支店の収穫を計130トンと予想していたが、「40~50トン分の実が落ちた」。3日、東京へ出荷したトラックに積んだのは1トンほど。不作だった昨年の3割減、豊作だった一昨年の半分だ。最近の取引額は大粒の「久寿(きゅうじゅ)」「藤九郎(とうくろう)」が昨年より1~3割安。出荷の多い久寿は500グラム750円前後だ。

 気をもむのは生産者だけではない。11月23日~12月2日には町恒例の「そぶえイチョウ黄葉(こうよう)まつり」が開かれる。昨年は9日間で21万人が訪れた。町商工会の担当者は「予定通り実施するが、色づく前に葉が落ちた木もある。台風25号は東海を外れて欲しい」と話す。(斉藤明美)