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 彼を手放した巨人は、今ごろ後悔しているかもしれない。9月に3戦3勝の好成績を残した5年目の平良拳太郎(たいらけんたろう)(23)のことだ。昨季までの4年間でわずか1勝の右腕が、その素質を開花させつつある。

 沖縄県今帰仁村(なきじんそん)出身。地元の県立北山高校から2013年秋のドラフト5位で巨人に入団。16年オフ、フリーエージェント(FA)で巨人に移籍した山口俊(31)の「人的補償」でベイスターズに迎えられた。

 プロ選手として「これから」という21歳で味わった不意の移籍。巨人からは人的補償の対象外となるプロテクトの28選手に選ばれなかった形だが、ベイスターズで着実に力をつけた。

 地道なストレッチで肩周りの柔軟性を高めたことで球速がアップ。この夏は大家友和・2軍投手コーチから「もっと大胆に投げろ」と指南されて一皮むけた。細かい制球を気にして四球を重ねる悪癖があったが、意識を変えて四球が減った。9月は3戦で計1個。球数が少なくなり、投げられるイニングも延びた。

 平良には憧れの投手がいる。巨人で180勝を挙げた斎藤雅樹さん(現・1軍投手総合コーチ)だ。1995年生まれの平良は、現役時代の斎藤さんを知らない。巨人に入団後、動画サイトで投球を見て衝撃を受けた。やや横手投げの平良にとって、横手投げの先発投手で活躍した斎藤さんの投球にはヒントがたくさんあるという。「気がつくと動画サイトで斎藤さんを探している。見ていて楽しい投手。すごいですよ」

 巨人に在籍時代、その斎藤さんが2軍監督を務めていた時期がある。ただ、近くて遠い存在だった。「自分のレベルが低くて、何をどう聞いたらよいのかわからなかった」。助言を求めることもしなかった。その反省から、今は貪欲(どんよく)に学ぶ意識を大切にしている。

 リーグ戦は残り4戦。3年連続のクライマックスシリーズ出場をかけた総力戦で、平良は救援で登板の可能性もある。伸び盛りの23歳にかかる期待は大きい。(波戸健一)

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