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 西洋の町並みを思わせる元町・中華街駅(横浜市)近くの商店街から脇道に入ったところに、馬の革製品を扱う「SILOKU」というブランド店がある。プロデュースを任されているのが、昨季までプロ野球DeNAでプレーしていた下園辰哉さん(33)だ。戦力外通告を受け「一度きりの人生、やってみるか」とまったく別の世界に飛び込んだ。

 「人間誰しも、初めは『素人(しろうと)』。そこから勉強して『玄人(くろうと)』(プロ)になれる。そんな人の生き様をブランド名に込めました」

 9月下旬。まだオープンから、1週間足らず。店頭で接客していた下園さんは、女性客に店の由来を聞かれ、こう答えていた。

 宮崎日大高、九州国際大を経て、2006年秋のドラフト会議で横浜(現DeNA)に入団。1番打者に定着し、選手会長を務めた時期もあったが、昨年10月に球団から戦力外通告を受けた。球団職員への転身を断り、知人から最初に紹介してもらった会社「ディアラ」の社員になった。

 同社では馬肉や馬油なども取り扱う。下園さんは食品衛生責任者の資格を取り、馬肉専門店の店頭に立つこともあった。入社当初は「俺には何ができるんだ」と考えたこともあったが、正直に「何も分からない」と社員らに打ち明けたことが、大きかった。周囲の会話やパソコンの扱いなども少しずつ理解。電話対応や取引先との連絡も、一つひとつ覚えた。

 SILOKUをオープンする準備段階では、職人から教わりながら、実際にミシンを使って馬の革を縫った。食肉処理場も見学し「いただいた命を無駄にしてはいけない」と学んだ。すべては接客などに通じる。

 店舗の奥には、革製品を作るための工具がそろう。「夢は自分でデザイン、裁断、縫製をして、完成したものを店に並べることですね」。野球を終えた第二の人生、充実した日々を送っている。(井上翔太)

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