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医の手帳・災害医療(1)

 南海トラフ地震が、向こう30年以内に70~80%の確率で発生するという数字が政府の地震調査委員会から発表されました。1995年の阪神淡路大震災以来、主な自然災害だけでも中越地震、中越沖地震、東日本大震災、熊本地震、そして今年は豪雨、台風、北海道胆振東部地震まで、実に日本では多くの災害が起きています。今後も多くの災害が日本を襲うことは間違いのない事実のようです。

 災害には、地震や洪水、山火事のような自然災害と、テロや列車・航空機事故のような人的災害がありますが、いずれの災害でも、規模や種類に応じて、多くの人命や健康に関わる事態が発生します。そのような「災害」に際して、「被災者の生命と健康を守る」ための医療が災害医療です。

 災害により命を失ったり、健康を損なったりする要因には大きく2種類があります。津波に流される、倒壊家屋の下敷きになるなどの災害の直接的な原因によるものを「災害直接死亡」といいます。

 一方、直接死亡は免れたものの、その後の長期に及ぶ避難所生活やライフスタイルの変化、あるいは身近な人の死に接した心の動揺など様々な間接的な要因によって発生するものを「災害関連健康被害(災害関連死亡)」と呼びます。最近の研究では、多くの地震災害において「災害関連健康被害(災害関連死亡)」が非常に多いという報告がされています。

 地震災害を例にとれば、災害直接死亡の予防には「耐震構造工事」「家具が倒壊しない工夫」「津波避難所の確認」などの地震発生前の日頃の防災対策が効果的です。一方、いざ地震が起きてしまった後には「災害直接死亡」から身を守る方法は限定的です。しかし、「災害関連健康被害」から身を守るために、発災後に私たち自身でできることはたくさんあります。発災後の避難生活の中でどうやって健康を守っていくのか。その方法について連載します。

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/