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 米国との対立が激しさをますなか、中国は技術を求めてイスラエルとの関係を深めています。経済制裁によって高度な技術の売買からしめ出される恐れもあって、その動きは加速しています。「中東のシリコンバレー」とも呼ばれるイスラエルを訪ねました。(編集委員・吉岡桂子)

 エルサレムに近い小高い丘にある農場のカフェで、マタン・ビルナイさんに会った。2012年から4年あまり、イスラエルの駐中国大使を務めた。1944年生まれ。軍歴が長く、副国防相、民間防衛相を務めた大物大使として注目された人物だ。

マートン将軍が演出

 ネタニヤフ首相が13年春、首相として6年ぶりに訪中し、習近平国家主席と会談してから、両国は急接近した。それを北京で支えたのが、中国で「馬騰(マートン)将軍」と呼ばれる彼である。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加盟で、締め切り間際に首相へ電話して決断を迫った話も、中国の人々の心をくすぐる。

 乾いた白っぽい土に強い日差しが照りかえす。「将軍」は、鋭い目を少し細めながら話し始めた。「外交の基礎は、人々の交流です」。10年間にわたって何度でも出入りできるマルチビザを解禁し、中国人旅行客は過去5年で5倍に急増した。テルアビブと北京、上海、広州、成都、香港の5都市の間を直行便が飛ぶ。ネット通販大手アリババの電子決済「支付宝(アリペイ)」も中東初となるサービスを始めた。

 「中国は技術やイノベーション力を、イスラエルは巨大な市場を相手に求める。補完性を両首脳は理解している」。イスラエルにとって中国は、米国につぐ2番目の貿易相手だ。両国は「イノベーション協力委員会」を14年に立ち上げ、毎年交互に往来する。今年は近く、習外交の大番頭である王岐山国家副主席らがやってくる。アリババの創業者で会長の馬雲氏も同行する。5月にネタニヤフ氏と会ってサイバーセキュリティーや人工知能(AI)の開発力をほめそやして以来、早くも再訪である。

■中東のシリコン…

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