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 父が経営していた会社の倒産。濱田拓也(33)は、自分や濱田家が持っているものを、ネットのオークションで次々に売っていった。宝石、時計、などなど。それを生活費にあてた。

 愛車マスタングも手放した。車検切れが迫っていたが、車検に出すカネがなかった。

 借金とりが来るので、家には帰ることができない。しばらく、父とホテルを転々とした。

 濱田にとって、それまでの父は、チョー怖い存在。会話はほとんどしていなかった。でも、2人で過ごす日々を送り、語り合えた。

 父は、従業員とその家族のこと、そして、濱田家のみんなのことを心配していた。夢も希望もなくテキトーに過ごしていた濱田は、心を打ち抜かれた。

 〈働くことには目的があるんだ。それは、自分が幸せになることではない。人のために役立つことなんだ〉

 さらに、命がけで生きていた母の姿を、あらためて見つめることができた。母は病などでずっと点滴暮らし、入退院を繰り返していた。

 〈真剣に生きなくては、母に申し訳ない〉

 何かをつくって売ろう、と思った。知人から、発酵技術でつくったコラーゲンから化粧品をつくってみたら、とアドバイスをもらった。別の知人に、別府には温泉がたんまりあるから、それを活用したら、と助言された。

 2006年。濱田21歳のとき、父と「サラヴィオ化粧品」を起業した。サラサラした美容液、だから、サラヴィオである。

 販売はネット通販。ゼロ円でできるウェブ通販の仕組みの本を買って、勉強した。

 〈ゼロ円やない、本代1200円、かかっているぞ〉

 そんな突っ込みを心の中で入れた。それまでの濱田とは違っていた。濱田には希望があった。

     ◇

 初年度の売り上げは300万円だった。アトピー性皮膚炎で困っている人の症状が和らぐなど、評判が口コミで広がっていった。

 温泉につかると細胞が活性化す…

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