高齢者の免許更新4カ月待ち…群馬県警、日数短縮目指す
75歳以上の高齢者が運転免許を更新するために必要な認知機能検査と高齢者講習の予約から受検・受講までに、現状では4カ月弱もかかっている。昨年3月の改正道交法施行で、検査結果によって講習内容が変わるようになったためだ。群馬県警は職員を派遣した検査を実施するなどし、日数の短縮を目指している。
9月下旬、太田署で県警運転管理課の職員が出張した認知機能検査が行われ、12人が参加した。動物の絵を記憶したり、時計の文字盤を描いたりする問題が出題された。受検者は約30分間、記憶力や判断力を問う問題と向き合った。
初めて検査を受けた群馬県みどり市の織田洋子さん(75)は、受検を通知するはがきが届いていたが、「まだ少し先のこと」と先送りにしてしまっていた。通知から数カ月経って近くの教習所に連絡したが、検査を受けられるのは年明けだと伝えられたという。
免許の有効期限が切れてしまうため、県警に連絡し、この日の検査を受けることになった。「息が止まるぐらい緊張したけれど、無事に受けられてよかった。病院通いや買い物に車は欠かせないので、ほっとした」と話した。
75歳以上の運転者は3年に1度の免許更新時に検査を受ける。結果は3段階で判定され、最も点数が低い「認知症のおそれ」と判定されると、医師の診断を受ける。認知症と認められると免許の取り消しや停止処分になる。検査を通過した場合は、実車指導などの高齢者講習を受講して免許が更新できる。
認知機能検査と高齢者講習は県内25カ所の教習所などで実施されている。待ち期間の平均日数は9月末時点で、認知機能検査が68日、高齢者講習が50日。検査と講習の両方を受け終わるまでには4カ月弱かかる。今年2月末に比べれば20日ほど短くなったが、依然として待ち期間が長い教習所が多い。
昨年3月に施行された改正道交法では、検査結果によって内容の異なる講習を受講することが定められ、同じ日に検査と講習を受けられなくなった。また、信号無視や一時不停止などの一定の違反があった場合にも検査を受けることになったことも、待ち期間の長期化に影響している。
運転管理課では、8月から警察署や署の分庁舎に職員を派遣した検査を実施。「待ち期間を短くするために、可能なことはやっていく」と今後も受検できる機会を増やす方針だという。
75歳以上の免許更新の場合には、免許有効期限の6カ月前までにはがきが届き、各自で教習所に申し込む。12~3月の教習所は卒業前の高校生で特に混み合い、より待ち期間が長くなる。同課は「通知が届いたら、すぐに教習所に連絡してもらいたい」と話す。同課の専用電話(027・253・7573)でも相談を受け付けている。
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