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 和歌山大学の硬式野球部が、近畿学生野球秋季リーグ戦(1部)で、昨年春以来、3季ぶり2度目の優勝を果たした。練習環境が十分でない中、3年前から取り組む「考える野球」が継承され、新たな伝統になりつつある。

 優勝がかかった9日の試合は、リーグ通算43度の優勝を誇る奈良学園戦。2―2の同点で迎えた七回表、先頭の左打者、田淵公一郎選手(3年)は、ここまで3打席凡退。内角を攻められ詰まらされていた。4打席目に入る際、相手守備を観察すると内外野共に左方向へ寄っていた。再び内角の直球が来ると確信し、狙いを絞って振り抜いた。打球は右中間へ抜け三塁打に。その後、適時打で試合を決める3点目のホームを踏んだ。

 チームは事前の準備も怠りなかった。9日は、天候不順で日程が延期された関係で、異例のナイター試合。急きょ、8日に紀三井寺公園野球場で夜間練習を実施。守備にどの程度影響が出るか、投手がサインを見やすいように、捕手の爪に何色のマニキュアを塗るかなど戦略を練って試合に臨んだ。大原弘監督は、「できることの全てをやってつかんだ優勝です」と笑顔を見せた。

 野球部の平日の全体練習は週2回に限られ、さらに、アメリカンフットボール部が練習する外野へのノックはできない。選手たちは、授業の「空きコマ」に集まって自主練習に励むなど、貴重な練習時間を確保している。

 チームの強化のため、2015年から力を入れてきたのが「考える野球」だ。大原監督は、当時2年の真鍋雄己さん(現・大和高田クラブ所属)のリーダーシップ、野球観を評価して主将に指名。真鍋さんは、選手の自主性を重んじる「考える野球」で力をつけた高川学園高校(山口県)の出身。真鍋主将のもと、「今何をすべきか」「どうすれば好機を創出して拡大できるか」などを選手個々で考えられる野球を目指し、チーム作りを進めた。

 その結果、チームは17年春季に、1924年の創部以来、初の優勝を果たす。真鍋さんが引退後、「考える野球」は、高川学園高卒で、「和大のブレーン」とも称される学生コーチの清川説志さん(4年)へと受け継がれた。

 ただ、17年秋季は3位、18年春季5位と成績は下降。清川さんは、「意味を持ったプレーを強く求められることに追いつかない選手が多かった」と分析。また、「身体・技術面では強豪私立に劣る。戦術面でカバーしないと」と、練習の合間をぬってミーティングを重ね、選手たちの理解を深めて今年の秋季リーグに臨んだ。相手に流れを渡さないように前半の失点を2点以内に抑え、後半、一気に畳みかけるという必勝パターンで勝ち点を重ねた。

 チームは、関西5リーグ代表校が参加して27日に開幕する関西地区代表決定戦を戦い、明治神宮野球大会を目指す。(関宏美)

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